月別アーカイブ: 2018年3月
トラックドライバー基礎編
春ですね。
新しくトラックドライバーになった方はいらっしゃいますか?
今回はトラックドライバーの方が最初におさえておきたい基礎にあたる話です。
また、基礎というものは今後どんな状態になったとしてもとても大切です。
ベテランのトラックドライバー、トレーラドライバーの方も一緒に振り返ってみてはいかがでしょうか。
以下は物流の主役であるトラックのドライバーとしての役割や責任、運転マナーなど、真のプロドライバーとしてあるべき心構えをとりまとめたものです。
内容は、
①トラックドライバーとしての心得
②トラックドライバーの遵守事項
③体調と運転
の3つの基本を中心に構成しています。
トラックの輸送に従事されているドライバーの皆さんは、この内容をよく理解され、交通事故、労働災害の防止とお客様の荷物の安全に役立てていただきますようお願いします。
1、トラックドライバーの役割と使命
事業用トラックはトラック全体の約16%(約140万台)です。
トラックには、緑ナンバーの運送事業者(6万社以上)が保有する事業用トラックと白ナンバーの自家用トラックがあります。
わが国の7千8百万台以上の保有車両のうち、トラックは約878万台であり、そのうち事業用トラックは約140万台(トラック全体の約16%)です。
貨物輸送の主流を担うトラック
今日の国内貨物の輸送量の約91%がトラック輸送です。
事業用トラックは、トラック全体の輸送トン数の半分以上を占めています。
輸送距離も含めた輸送トンキロでみると、トラック全体の約87%です。
1日1台当りの輸送トンキロでは、自家用の28倍以上
自家用トラックは1トンの貨物を1日33キロしか輸送していません。
事業用トラックは1トンの貨物を1日950キロ輸送しており、自家用の28倍以上です。
2、物流を支えるプロドライバー
円滑な物流が日本経済の大きな基盤になっていることを考えれば、プロドライバーが、まさに現在の日本経済を支えているといえます。
日本経済を支えるプロドライバーとしての誇りを持つとともに、貨物を安全・確実・迅速に輸送するという役割と使命をしっかりと認識する必要があります。
ライフラインを守るプロドライバー
物流は、電気・ガス・水道などと同じ、ライフラインの1つです。
トラック運送業界は、地震などの自然災害が発生した緊急時には、国や地方自治体と連携して、緊急・救援物資輸送を優先かつ迅速に行っています。
・平成7年1月の「阪神・淡路大震災」では、緊急・救援物資輸送に延べ4万台のトラックが出動。
・平成9年に日本海で沈没した「ナホトカ号」の重油流失事故では、重油回収用のドラム缶輸送など、延べ1千台のトラックが出動。
・平成16年10月の「新潟県中越地震」では、緊急・救援物資輸送に3ヶ月で延べ915台のトラックが出動。
3.トラック事故の重大さを認識する
大型車ほど死亡事故につながりやすいです。
保有車両台数1万台当たりの死亡事故発生件数は、事業用トラックは約4.5件で自家用トラックの約2.6倍、自家用乗用車の約5.6倍、バス・タクシーの事業用乗用車の約1.7倍になっています。
事業用トラックの人身事故1,000件当たりの死亡事故件数をみると、政令大型貨物車(車両総重量11トン以上、または最大積載量6.5トン以上)が約36.2件、大型貨物車が約14.8件であり、大型車ほど死亡事故になりやすい傾向にあります。
事業用トラックは一日の走行距離が長い分、事故に遭う確率も高いのです。
交通事故を起こさないという信念を持つ
トラック事故が発生すると、運送業界全体のイメージ低下にもつながり、トラックの重要な役割より、危険な業種というレッテルが貼られてしまいます。
交通事故は、会社にもドライバー自身にも大きな損失やさまざまな不幸を招くことを認識し、事故を起こしてはならないという強い信念をもつ必要があります。
4、環境に配慮した運転
環境への影響があります。
トラック輸送が日本経済の大きな基盤になっている一方で、排出ガスによる大気汚染や地球温暖化などの環境問題も発生しています。
ディーゼルトラックに関係する大気汚染物質には、窒素酸化物(NOx)、 粒子状物質(PM)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)などがあり、特に窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)は、人の健康に直接影響を及ぼすといわれています。
トラックから排出される二酸化炭素(CO2)も地球温暖化の原因となっています。
「エコドライブ」の効果
「エコドライブ」は、環境保全のためだけでなく、交通事故の防止や運行経費の節減、さらには資源の節減などさまざまな効果をもたらします。
特に「アイドリングストップ」は、エコドライブの中心となるもので、排出ガス減少や燃料節減につながります。
環境問題は、世界ベースで考えなくてはならない本当に大切な課題です。
私たち個人ができる内容は限られていますが、エコドライブを行うことですこしでも貢献できると良いですね。
引用参考:トラックドライバーとしての心構え
被災地内での配送について
トラックやトレーラドライバーの皆さんが、被災地への運搬を行う際に準備しておきたい大切なことがあります。
まずは自信の安全を確保することが二次被害を防ぐために必要です。
安全を確保するということは、無理な走行をしないということでもあり、あるいはドライバーの方が万が一不測の事態に陥ってしまったときになんらかの回復手段が行われることでもあります。
被災地内での配送
被災地内での配送とは「全国から集まった救援物資を、物資集積所から被災地内の避難所や他の物資集配拠点に運ぶ輸送」をいいます。
狭い道も通行でき、機動性のある2トン小型車両による配送が有効です。
1、出動にあたっての準備
[燃料の確保に努めましょう]
被災地内では、燃料の確保が困難になる場合が想定されます。
出動車両は、トラック協会の本部や支部を通じて「被災地内で稼働している燃料供給所」の情報を入手し、燃料の確保に努めましょう。
[輸送ルートの確認に努めましょう]
被災地(特に災害発生の初期段階)では、通行できる道路の状況が刻々と変化します。
通行可能な輸送ルートの情報収集に努めましょう。
[ドライバーには十分な携帯品を]
被災地では、道路の渋滞などにより配送時間が長時間にわたる可能性もあります。
そこで、次のような携帯品を準備して出動しましょう。
・現金(公衆電話用の小銭も)
・作業服(ヘルメット、軍手)
・作業靴、懐中電灯
・携帯食料品、飲料
・救急医療品
・携帯電話などの通信手段
・その他必要なもの
2、物資集積所での注意事項
[物資の積み込み]
物資集積所では、緊急・救援輸送車両や物資の積み降ろし、集積した物資の管理などで、かなりの混乱が予想されます。
現地の責任者の指示に従って、必要な物資を迅速に積み込みましょう。
[輸送内容の確認]
輸送の正確さを期するため(また、後日の運賃精算のためにも)、できるだけ現地の責任者から「配送する物資の送り状を作成」してもらい、配送先で受領印をもらうようにしましょう。
3、輸送途中の注意事項
[情報連絡]
被災地内では、輸送途中に会社や輸送要請者などと連絡を取り合う必要が生じる可能性もあります。
そのため、携帯電話などの準備をしましょう。
(場合によっては公衆電話で連絡をとります)。
[臨機応変な対応も必要]
被災地内では、避難住民に対して「必要とされる物資の種類や量などの情報が確保しにくい」ことがあります。
それにより、輸送に混乱が生じた場合は、物資集積所の責任者である都道府県の職員に「避難所の状況や必要な物資について」報告し、追加物資の輸送を引き受けるなど臨機応変に対応することも必要となります。
4、輸送を終えたら
[報告はきちんと]
避難所などへの配送が終了したら、事業所では都道府県トラック協会の本部・支部にきちんとその報告をしましょう。
これは避難所などへの物資の配送状況の確認と、後日の運賃精算のためにも必要となります。
全ト協が提供する緊急・救援輸送情報
全日本トラック協会では、災害発生の規模に応じて「緊急・救援輸送や通過交通に必要な情報」を、各都道府県トラック協会や全国のトラックステーションなどに伝達することにしています。
緊急・救援輸送情報
輸送ルート情報
交通規制情報や通過交通の迂回路情報、緊急交通路に関する「輸送ルート」についての情報。
有料道路通行料金免除に関する情報
緊急・救援輸送車両が、緊急交通路となっている有料道路を通行する際の「通行料金免除」に関する情報。
被災地物資取り降ろし場所に関する情報
被災地に設置された「物資取り降ろし場所」の所在地や道順などについての情報。
他地域から被災地に向けた救援物資情報
他地域から被災地に向けて運ばれる「救援物資」の品目や量に関する情報(被災地の物資集配拠点や都道府県トラック協会などに伝達します)。
被災地内燃料給油所についての情報
被災地内で稼働している「燃料給油所」の名称や所在地についての情報。
復興物資輸送ルート情報
建築資材搬入や瓦礫の撤去、ライフラインの復旧工事に使用される車両など、復興事業に使用する車両が優先的に通行できる「復興物資輸送ルート」についての情報。
特殊車両通行可能道路情報
被災地周辺の特殊(種)車両が「通行可能な道路についての情報と、災害に伴う特殊(種)車両通行許可申請の要件」についての情報。
[情報の入手方法]
緊急・救急輸送「出動車両」は、各都道府県のトラック協会または協会支部から情報を入手してください。
そのほかの事業所は、所属する各都道府県トラック協会支部に問い合わせるか、全国のトラックステーションでの掲示を利用してください。
ドライバーの方だけでなく、運行管理を行う方や、各地で情報を集めている方などを含め、さまざまな企業と連携し合い早急に対処していくことこそが、被災地回復へのひとつの、そして最初の一手なのではないでしょうか。
引用参考:改訂版 防災手帳~災害に備えて~
緊急・救援輸送2
トラックやトレーラドライバーの皆さんは、日本の物流の中心です。
それは、災害時でも変わりません。
災害直後、被災地へ向けて物資を届ける大切な役割を担うことがあります。
また、被災地以外でも、その周辺の地域で物資が不足していくことは大きく考えられます。
他地域から被災地に向けての輸送
緊急・救援輸送は、輸送範囲によって「他地域から被災地に向けての輸送(物資調達の輸送)」と「被災地内での配送(物資配送の輸送)」に大別されます。
ここでは「他都道府県等から被災地の物資集積所へ向けて行われる救援物資輸送」の注意事項について示します。
この輸送は、大量の荷物を運ぶことが多いため11トン車など大型車両による輸送が中心となります。
1、出動にあたっての準備
他地域から被災地までの輸送は、長距離輸送となる場合があり、被災地周辺の交通渋滞により長時間にわたる輸送となる可能性もあります。
そのため次のような準備が必要です。
[出動車両について]
・燃料は満タンに
被災地周辺では、燃料の確保が困難な場合もあります。
満タンにするなど事前の対応が必要です。
・車両の整備状況をチェック
出動車両が、車両故障を起こしたら十分な役割が果たせません。
日頃から整備状況には気をつけておきましょう。
[ドライバーの携帯品について]
出動時は、いつ帰れるか分からないという心構えで、必要なものを用意して出動しましょう。
2、集合場所での注意事項
[物資の積み込み、輸送内容の確認]
・集合場所(都道府県の備蓄倉庫や庁舎等)では、都道府県やトラック協会の職員の指示を受け、物資を迅速に積み込み、輸送内容についても確認しましょう。
[緊急・救援輸送ステッカー、横断幕の装着]
・出動車両には「緊急・救援輸送車両であることを識別する」ステッカーと証明書、都道府県トラック協会独自の横断幕などが支給されます。
トラック前面もしくは横側(荷台部)に、正しく装着しましょう。
3、輸送途中の注意事項
[輸送隊を編成する場合]
・長距離輸送で、輸送隊を編成して出動する場合は、途中で集合するサービスエリアなどを決めて走行し、はぐれないようにしましょう。
[パトカーが先導する場合]
・パトカーや白バイの先導がある場合は、その指示に従いましょう。
[輸送ルートの確認]
・災害発生の初期段階では、緊急交通路が刻々と変化することもあります。
被災地に近くなったら、輸送ルートを確認することも必要です。
・確認は、被災地都道府県の警察署や交通管理センターへの問い合わせ、全日本トラック協会を通じて全国のトラックステーションで掲示する予定の輸送ルート情報などを利用しましょう。
[危険物を輸送する場合]
・燃料など危険物を輸送する場合は、横転や衝突による惨事を引き起こさないように十分注意しましょう(消火器の常備を忘れずに)。
4、被災地に着いたら
[物資の取り降ろし]
・現地の責任者の指示に従い、迅速に荷物を取り降ろします。
また、どこから運ばれてきた、どんな物資であるかを明確に伝えます。
[帰路について]
・物資を降ろしたら、すみやかに被災地を離れます。
なるべく渋滞を避ける走行ルートをとり、無理をせず宿泊や仮眠を取りながら事故のないよう帰路につきましょう。
事故などの二次災害が起こる場合があります。
ドライバーの皆さんは安全に考慮して、無理の無いように行動するようにしましょう。
引用参考:改訂版 防災手帳~災害に備えて~
緊急・救援輸送
トラックやトレーラドライバーの皆さんは、緊急輸送などに携わったことはありますか?
緊急・救護輸送は、災害などが起こることにより要請されるものです。
ですからそういった機会が無い方が良いのですが、とはいえとっさのタイミングで「まったく知らない」ということがあると困りますよね。
どのようなタイミングで、どのようなことを要請されるのかを確認しておきましょう。
1、緊急・救援輸送とは
被災地の援助や復興のための輸送を「緊急・救援輸送」といい、次のような輸送を行います。
・被災者の応急生活を確保するための救援物資の輸送(食料品、飲料水、衣料、日用品、熱源、医薬品、仮設住宅など)。
・被災地の後片付けのための物資輸送。
・被災地の都市機能回復のための資機材などの輸送(道路・鉄道・河川・水道・ガス・電力・通信などの復旧資材、車両、燃料など)。
2、トラック運送事業者の役割
被災後はさまざまな物資を、短期間に、大量に輸送しなければなりません。
トラック運送事業者には、これら輸送の担い手として大きな役割が期待されています。
3、緊急・救援輸送の要請機関
緊急・救援輸送の要請は、都道府県等から都道府県トラック協会に要請され、それを受けて出動することになります。
4、緊急・救援輸送の要請事項
災害発生に伴い、都道府県等から「出動する車種・台数、集合(出動)場所、出動日時、輸送品目、輸送先」などの要請事項が、都道府県トラック協会に出されます。
これを受けて都道府県トラック協会では、各支部や会員事業者に電話やファックスなどで出動を要請します。
5、要請後は迅速な対応を
都道府県等から都道府県トラック協会への輸送要請は、深夜や早朝に発せられる場合もあり、出動までの時間が短い場合もあります。
そのため要請後は迅速な対応が必要となります。
緊急・救援輸送「出動車両」の優先事項
緊急・救援輸送を行う車両は、一刻も早く目的地に到着し、業務を果たすことが求められるため、次のような優先事項が与えられています。
1、緊急交通路の通行が可能
緊急・救援輸送「出動車両」には、一般車両の通行が禁止されている緊急交通路の通行許可や、(緊急交通路が有料の場合は)通行料金が無料となる場合もあります。
その際、一般車両と区別するため、緊急通行車両を証明する標章(ステッカー)と証明書が必要となります。
2、緊急通行車両の標章(ステッカー)
緊急通行車両を証明する「緊急通行車両標章」および「緊急通行車両確認証明書」は、都道府県知事か公安委員会が交付します。
3、緊急通行車両の事前届出
警察庁は、応急活動の事務迅速化を目的に「緊急通行車両等の事前届出・確認手続等運用要領の制定について」を、全国警察本部に発出しています。
それを受けて全国警察本部では、防災関係機関である指定地方行政機関および指定地方公共機関などに対し説明会などを開催し、緊急通行車両事前届出の普及をはかっています。
4、事前届出車両の登録
都道府県等が災害応急対策活動上、「災害応急対策を実施するために使用される計画がある車両である」と判断すれば、都道府県等と運送事業者が協定を結んで公安委員会に申請することで、事前届出車両として登録することができます。
届出車両には、証明書(緊急通行車両等事前届出済証)が交付され、緊急・救援輸送活動に従事している場合、検問所などで証明書を携帯していれば、前記の標章(ステッカー)、証明書が交付されます。
大きな震災のあった3月11日まであと数日。
あの日は地震だけでなく、津波への対策も大きく考えさせられました。
そして、以前も、以降も、地震はありました。
地震、津波、自然災害の脅威はあの日だけではありません。
私たちができることをひとつずつ実行していきましょう。
引用参考:改訂版 防災手帳~災害に備えて~