月別アーカイブ: 2018年8月
トラック安全運転 3
もうすぐ夏も終わりですね。
今年はたくさんの雨が降るタイミングが多かったですが、ドライバーの皆さんはどのようなことに気を付けて運転をしましたか?
どんな時も安全に運転できるように、積荷への注意や車両のメンテナンスは特にきちんと行うようにしましょう。
過積載は交通事故の要因
過積載をすると制動距離が長くなる
①定量積載のトラックの制動距離に対し、過積載状態では制動距離が長くなるといった測定データがあり、過積載状態が危険であることは明らかです。
②また、過積載時は定量積載時に比べ、衝突事故時の衝撃力も大きく死亡事故や重大事故につながる可能性が高いのです。
過積載をするとバランスを崩しやすい
①過積載をすると、一般的に高積みとなり左右のバランスを崩しやすい。カーブ走行では、対向車線へのはみ出しや横転する恐れがあります。
②下り坂では定量積載時に比べスピ-ドが出ます。このためブレーキへの負担は増し、過熱してブレーキが効かなくなるフェード現象を引起こす恐れがあります。
過積載は交通公害の要因
排気ガスによる大気汚染
①ディーゼル車は馬力があり、耐久性や燃費に優れていますが、自動車排出ガス中の窒素酸化物(NOx)の約8割、粒子状物質(PM)の全てを出します。
②過積載運転をすると低速ギアでの高回転走行が多くなり、汚染物質が通常の走行時より多く排出され、大気汚染の原因となります。
車両や路面への悪影響
①低速ギアでの高回転走行により、燃料・オイルのムダ使いになるばかりか、エンジン音が大きく騒音公害の原因となります。
②タイヤヘの負担は相当大きく、タイヤの磨耗のみならず車両の寿命を縮める原因となります。また道路や橋へのダメージも少なくありません。
過積載に対する罰則
運転者に対する罰則
①過積載運転をすると、程度に応じて右の表の違反点数や反則金が運転者に対して課せられます。
②大型車を運転して10割以上の過積載をした場合には、それだけで違反点数が6点となり、免許停止処分になるとともに、反則金という行政処分ではなく、「6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金」という刑事処分を受けることになります。
過積載に対する警察の措置
車両の停止と積載物の重量測定など
車両が過積載と認められる場合は、警察官により車両の停止と自動車検査証や制限外許可証などの提示を求められ、積載物の重量測定が行われます。
過積載車両への措置命令及び通行指示
①過積載に対する警察官からの措置として「過積載分の積荷をおろす」、「代車に積み替える」などが命ぜられます。
②過積載車両からその場で「荷をおろす」ことができない場合には、警察官から通行区間や経路、その他危険防止に必要な措置を受け、「通行指示書」が交付されるのでその内容に従って運行しましょう。
積載のルール
積載制限の内容
積載制限を超えて荷物を積んだり、荷台に人を乗せて走行してはいけません。ただし、荷物の看守のための必要最小限の人を荷台に乗せることは可能です。
分割できない荷物を運ぶ場合
荷物を分割することができないため、積載制限を超えてしまう場合には、以下の条件を遵守する条件で、出発地の警察署長の許可を得れば制限を超えて荷物を積載し、運行することが可能です。
①荷物の見えやすいところに次のものを付けるようにしましょう。
・昼間:0.3m2以上の赤色の布
・夜間:赤色の灯火又は赤色の反射器
②車両前面の見やすいところに許可証を掲示しましょう。
③その他道路における危険防止上の必要事項。
積み方の基本
運転特性と積み付け位置
①積み荷の積み付け位置が荷台中心にある時が最も安定した運転が行えます。
②複数個の積み荷全体を総合した重心の位置は、トラックの荷台の中心位置に近付けることにより、積み荷を安定して運搬できます。
前に偏った積み付けの例
下り坂の走行時や急ブレーキをかけた時に、制動力不足となる恐れがあります。
左右に偏った積み付けの例
カーブ走行時、右左折時、傾斜路面走行時に横転する恐れがあります。
後部に偏った積み付けの例
前輪荷重が不足しハンドル操作に影響を及ぼす。発進時や登り坂の走行時、踏切通過時に、車体前部が持ちあがる恐れがあります。
荷崩れを防止する積み付け方法
カートン・木箱などの数物の雑貨の場合
カートンケースに印刷された一般貨物の荷扱い指示マークに従って、積み付けや取扱いを行いましょう(JISでは19種類のマークが定められています)。
同一寸法のカートン・木箱を積み付ける場合
①積み重ねる段ごとに交互に積み付けを変え、荷崩れを防止しましょう。
②パレット積みの場合は、レンガ積みやピンホール積みが適しています。
1個当りの重量が大きい機械・鉄鋼製品や長尺物の場合
円形断面の長尺貨物(コイル、大口径管等)の積み付けには、転がり防止対策のために「歯止め」を用いることが必要になります。
積荷の内容によって、様々な制約があります。
荷崩れを防止する対策を取ることは、ドライバーの皆さんにとっても安全運転に繋がります。
運転中に気になる点があるようでしたら、安全な場所で確認するようにしましょう。
トラック安全運転 2
台風が続いています。
皆さま安全な行動を心がけてくださいね。
台風は季節柄とはいえ、トラックやトレーラドライバーの皆さんは、交通情報が気になるところでしょうか。
ドライバーの皆さんも、より安全な運転をお願いいたします。
トラックの車幅と運転
狭い道路での対向車とのすれ違い
①トラックの車幅は2.2~2.5mで、乗用車の約1.3倍程度あります。
②狭い道路では対向車とのすれ違い時に接触事故を起こす恐れがあります。
③自分の運転技量を過信せず、徐行や一時停止を行い十分に安全を確認し通過しましょう。
カーブ等での車体一部の対向車線へのはみ出し
①狭い道幅のカーブ走行時には、速度を減速することばかりではなく、センターラインをはみ出さないように車幅にも注意を払った運転が必要とされます。
②特に右カーブでは、視線が右に向きやすく、右側ミラーできちんとセンターラインをとらえて、はみ出さないような運転を心掛けましょう。
トラックの死角
左側後方の死角は大きい
①右側に運転席のあるトラックでは、左側の死角が大きいことを自覚しましょう。
②左側は確認できる部分が少なく、左側方から左後方にかけてはバックミラー、アンダーミラーに映る範囲以外はほとんど死角となります。
後方の死角
①バン型トラックは後方のほとんどが死角です。
②後方が見えない状況で安全に後退するためには、いったん下車して後方の安全を確認するか、誘導員に誘導してもらう必要があります。
③誘導してもらう時やバックアイカメラを使用する場合でも過信は禁物です。
スピードと車の特性
スピードを出すと衝撃力が増す
①衝突時などの衝撃力は、スピードの2乗に比例して大きくなります。
②貨物を積載しているトラックは車両総重量が重いため衝撃力は一層大きくなり、死亡事故の主要因となります。
スピードを出すと遠心力が増す
①カーブで急ハンドルを切った時に生じる外側に向かう力が遠心力です。
②この力はスピードの2乗に比例し、カーブがきついほど、車が重いほど大きくなります。
スピードを出すと停止距離が長くなる
①「停止距離」とは危険を感じてブレーキを踏み、効き始める迄に進む距離「空走距離」とブレーキで車を停止させる距離「制動距離」との合計距離です。
②スピードを出せば出すほど「停止距離」は長くなります。
スピードと視覚
スピードを出すと視力が低下する
①車を運転中の視力は静止している物を見る時の「静止視力」とは異なり、常に動いている物を見る「動体視力」と呼ばれています。
②「動体視力」は昼間よりも夜間に、スピードを出せば出すほどに低下する傾向があります。
③静止視力がよい人でもスピードの出し過ぎには十分注意しましょう。
スピードを出すと視野が狭くなる
①人が視線を動かさずにいる状態で見える範囲が視野です。
②通常、静止してまっすぐ前方を見た場合、視野は両眼で約200度程度見えますが、スピードを出せば出すほど見える範囲は狭まります。
下り坂・上り坂のスピードコントロール
下り坂の走行
①下り坂ではスピードが出やすく、前車との車間距離をとるためのスピードコントロールが重要となります。特に前車が排気ブレーキ使用の場合は注意しましょう。
②長い下り坂でフットブレーキを多用すると、フェード現象やベーパ・ロック現象が生じ、ブレーキが効かなくなる恐れがあります。
③できるだけエンジンブレーキや排気ブレーキを活用し、道路の勾配や周囲の状況に応じた走行を心掛けるようにしましょう。
上り坂の走行
①積載量が大きい大型トラックは、上り坂ではスピードが低下しがちです。
②このため後続車に追突される恐れもあるので、上り坂ではスピードメーターのチェックを確実に行いましょう。登坂車線のある道路では登坂車線を利用します。
安全な速度と車間距離
1秒間に車が走行する距離
①スピードを出せば出すほど1秒間に車が進行する距離は長くなります。これは危険を感じてブレーキを踏み、効き始めるまでの「空走距離」が長くなることを意味します。
②スピードの出し過ぎや走行中に不用意なわき見をしてはいけません。
安全な速度と車間距離
スピードに応じた安全な車間距離の取り方の目安は次のとおりです。
①速度60km/h以下の場合は、走行速度の数字から15を引いた車間距離をとりましょう。
②速度60km/hを超える場合は、走行速度の数字と同じ車間距離をとりましょう。
車間距離を取ることは、自分や相手、そして周囲を、安全に守るための行為です。
きちんと車間距離を保ち、焦らず適切に運転しましょう。
トラック安全運転
夏休みに入り、道路がたいへん混み合っていますね。
これからお盆休みになりますから、更なる混雑が予想されます。
普段運転をされない方も多くいらっしゃいますから、プロのドライバーである皆さんもより気を引き締めて安全運転するようにしましょう。
物流の主役であるトラックドライバーに課せられた社会的責任、すなわち安全運転を継続的に遂行するための基礎知識を取りまとめました。
内容は、
①トラックの基礎知識
②トラックの特性と運転
③積み荷と運転
④危険を回避する運転方法
の4つの基本を中心に構成しています。
トラック輸送に従事されているドライバーの皆さんは、交通事故の防止に役立てていただくようお願いします。
トラックの運転資格
運転免許の種類
①運転免許の種類によって運転可能な自動車、自動二輪車、原動機付自転車は道路交通法で決められています。
②トラックを運転する場合、大型自動車免許を受けていれば、大型・中型・普通・小型・軽トラックと多様な用途に応じたトラックの運転が可能です。
③大型免許の受験資格は21歳以上かつ運転経験3年以上、中型免許の受験資格は20歳以上かつ運転経験2年以上と道路交通法で定められています。
けん引免許
①大型自動車、中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車のいずれかで他の車をけん引する時は、けん引する自動車の種類に応じた免許の他にけん引免許が必要です。
②ただし、車両総重量が750kg以下の車をけん引する時や、故障車をロープでけん引する時は、けん引免許は必要としません。
特殊車両の通行について
車両制限令による最高限度
①道路法第47条で「車両制限令に定める車両の幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径の最高限度を超えるものは、道路を通行させてはならない」と定められています。
②最高限度を超える特殊車両の通行は道路管理者に申請しましょう。
特殊車両通行の際の確認事項
①特殊車両通行許可証が車両に備えられていることを確認します。
②車両総重量が20トンを超えるトラックを運行する際には、車体の前面に標識が表示されていることを確認しましょう。
道路による法定最高速度
道路標識や標示で最高速度が示されている場合
標識や標示で最高速度が示されている場合はその速度が最高速度であり、その速度を超えて運転してはいけません。
道路標識や道路標示で最高速度が示されていない場合
①標識や標示で最高速度が示されていない一般道路では、トラックの種別に拘わらず全て速度は60km/hです。
②自動車専用道路及び中央分離帯のない高速自動車国道でも、トラックの種別に拘わらず速度は60km/hです。
③高速自動車国道の最高速度は、車両総重量8トン以上のトラック及びトレーラは速度80km/h、車両総重量8トン未満のトラック及び軽トラックは速度100km/hです。
トラックの車高と運転
運転席の高さと視界との関係
①トラックは運転席が乗用車に比べて高い位置にあり視界が広いです。反面、運転者は前方を上方から見下すような視野での運転となります。
②前車との車間距離は長く感じやすく、実際の車間距離が短くなります。
③そのためトラックが起こす事故のなかで、とくに追突事故が多くなっているのです。
追突事故を防止する運転追突事故防止のため、以下のチェックを行いましょう。
・前車に接近し過ぎていないか?
・スピードを出し過ぎていないか?
・交差点では前車の減速や停止に注意しているか?
・周囲の車の動静に注意しているか?
トラックの車長と運転
トラックは内輪差が大きい
①車長の長いトラックは、乗用車よりもホイールベースが長く内輪差も大きいです。
②内輪差が大きいため「左折時に左側方の歩行者やバイクを巻き込む事故」を起こしやすいのです。左折時には歩行者やバイクの動静をよく注意して運転しましょう。
狭い道路への左折時車体がふくらむ
①トラックは内輪差が大きいため、狭い道路へ左折する時、大きくハンドルを右に切り、センターラインをはみ出して左折することがあります。
②これは道路交通法違反であり、予め道路の左端に寄り左折しましょう。
右折時は車体後部がオーバーハングする
トラックは右折時にオーバーハングし、車体後部が外側に振られ後続車に接触する恐れがあります。この点を十分注意して運転しましょう。
高速道路も含め、混雑は続くでしょうから、道路だけでなくパーキングエリア内での事故にも気を付けましょう。
皆さんにとって安全な輸送になることを願っております。