月別アーカイブ: 2018年10月
トラック業界を取り巻く環境問題
ドライバーの皆さんは、環境問題について考えたことはありますか?
乗用車もバイクも、トラックもトレーラも、環境問題に関係しています。
最近では低燃費のエコカーの普及も進んできましたね。
新・環境基本行動計画の推進にあたって
トラック輸送産業は、国内貨物輸送の基幹産業として、経済活動や市民生活を維持する上で不可欠な存在です。
一方で、トラックは走行時に NOx・PM、CO2 などを排出し、特に大気汚染問題への対策が急務であったことから、平成 13 年に業界の環境対策の基本指針となる「環境基本行動計画」を策定し、環境対策の普及に努めてきました。
また、平成 18 年度には「環境対策中期計画」を策定し、大気汚染防止及び CO2 排出抑制に向けたそれぞれの数値目標と対策を掲げ、エコドライブの推進や車両代替などをはじめとする多岐に及ぶ環境対策に取り組んできました。
この結果、自動車 NOx・PM 法対策地域の大気環境基準は概ね達成し、CO2 の削減についても、計画で掲げた目標値を達成することができました。
一方、「環境基本行動計画」の策定から 10 年以上が経過し、一層深刻化する地球温暖化問題をはじめ、トラック運送業界を取り巻く社会情勢や環境の変化等に適確に対応する必要があります。
このため、新たな環境対策の指針となる「新・環境基本行動計画」を策定し、引き続きトラック運送業界を挙げた環境対策の推進に努めることになりました。
今後のトラック輸送産業が、社会との共生を図りつつ、持続的発展を目指すためにも、業界をあげたさらなる環境対策への取り組みと実効が期待されています。
トラック業界を取り巻く環境問題
美しい地球環境を守るために、トラック運送業界は環境問題に真剣に取り組んでいます。
1、地球温暖化問題
地球温暖化問題は、地球環境へさまざまな影響を及ぼすと考えられています。
トラック運送業界では、省エネに向けたさらなる対応を図っていきます。
2、廃棄物問題
事業所からの廃棄物の排出抑制、使用済み製品の再利用、リサイクルの推進および廃棄物の適正処理などについて一層の理解を深めるとともに、より積極的な取り組みを行っていきます。
3、その他の環境問題
地域の騒音や振動問題に対して、交通量の多い地域への対策に加えて、特に、深夜・早朝のアイドリング・ストップなどの促進のため、さらなる対策を講じていきます。
また、事務所における環境保全として、グリーン購入や電気・紙等の節約、分別によるごみの発生抑制等を推進します。
新・環境基本行動計画の概要
「新・環境行動基本計画」は、計画全体のベースとなる「基本行動指針」と 10 の環境対策およびその対策ごとの基本指針で構成されています。
実施にあたっては、トラック運送事業者、全日本トラック協会、各都道府県トラック協会および各関係団体などの自主的な取り組みを基本としています。
とくに、トラック運送事業者については、事業規模、地域または業態などの特性に応じて、全ての事業者が取り組むことになっています。
また、計画が円滑に実施されるよう、全日本トラック協会および各都道府県トラック協会は、具体的なガイドラインを示し、積極的に計画の推進に努めていきます。
1、トラック運送事業者の取り組み原則
① 全ての事業者が、事業規模、地域または業態などの特性に応じた取り組みを行う。
② 自主的な計画または目標を策定する。
③ 取り組み結果については、自主点検または自主評価を行い、必要に応じて計画または目標の見直しを行う。
2、新・環境基本行動計画の基本行動指針
トラック運送事業者ならびに各関係団体は、社会との共生を図りつつ、トラック運送業界の持続的発展を目指すため、業界の自主的な取り組みである「新・環境基本行動計画」を積極的に推進するとともに、地域環境保全トラック輸送に係るあらゆる環境負荷の低減に努めます。
また、各トラック運送事業者においては、自ら策定した自主的な計画をホームページ上等で公表するなどにより、取り組みの内容を内外に明確にし、確実な実施とともにコンプライアンスの徹底に努めます。
企業はもちろん、ひとりひとりが環境問題を意識することが改善の一歩になるのだと感じます。
エコドライブに努めましょう。
引用参考:新・環境基本行動計画パンフレット
トレーラの特性5
トラックやトレーラドライバーの皆さんは、点呼を行っていますよね。
点呼には、安全確認や予定の確認など、いくつかの項目があります。
一緒に確認していきましょう。
点呼
乗務前点呼
日常点検の実施後、運行管理者と対面(長距離運行等やむを得ない場合は電話等の方法)で点呼を行います。
・酒気を帯びて乗務しない(前日の飲酒等の影響はないか?)
・積載オーバーになっていないか?
・偏荷重や荷崩れ等を防止するためのロープやシート掛けは万全か?
・疾病、疲労等により安全な運転ができないおそれがあるときは申し出る
・日常点検を実施し、またはその確認をする
・運転者交替の予定を確認する
・運行経路、道路状況および気象状況を確認する
・その他、とくに注意する事項を確認する
乗務途中の点呼
運転者は、長距離運行等により乗務前後の点呼がいずれも対面で行えない乗務の場合のみ電話等により運行管理者に次の報告を行い、点呼により指示を受けます。
・運転者の疾病・疲労・飲酒等の状況
・日常点検の状況
・指示事項の確認
・その他必要な事項の確認
乗務後点呼
予定された作業が無事に終わり、事務所に戻ったら、運行管理者に終業の報告を行い、対面で点呼を受けます。
・乗務記録(日報など)や運行記録計の記録紙など、書類に必要事項を記載する
・運行管理者に所定事項(運転者〈疲労等〉、車両の状況、道路状況など)を報告し、指導を受ける
・事故の場合は、事故状況およびその処置状況を報告し、指導を受ける
日常点検
事業用自動車の場合、ひとたび車両故障やそれがもとで交通事故などが起きると、社会的に大きな影響を及ぼします。
そうした事故を防ぐためにも、日常点検の実施が法律で義務づけられています。
1日の運転を安全に行うためには、運行を開始する前に車両の状態に異常がないか確認することが必要です。しっかりとした日常点検を行いましょう。
点検に際して
・エンジンを止め、スターターキーを必ず抜き取る。
・駐車ブレーキを確実に効かせ、ギアをニュートラルにする。オートマチック・トランスミッション車はレンジセレクターレバーを“N”レンジにする。
・平坦な場所で行う。
・タイヤに輪止めをかける。
・走行直後の点検はやけどをするおそれがあるので、冷えた状態で行う。
・吸気ダクトには物を落とさない。
・エンジンの上に乗るときは、パイプ類、エアクリーナーなどの補機類に足を掛けない。
・点検、手入れ終了後は、エンジンルーム内にウエス(布)など燃えやすい物や工具などの置き忘れがないか、点検する。
・点検、手入れ終了後は、オイル漏れや液漏れ、および水漏れがないか必ず点検する。
連結部のチェックを確実に
連結部のチェック項目
・エアコックが完全に開いているか
・サービスライン、エマージェンシーラインのホース接続は間違いないか
・エア・カップリングの接続が完全でエア漏れはないか
・カプラのロックは完全か(「カプラロック」ウォーニングランプの点灯確認)
・トレーラ側のパーキングブレーキが完全に解除されているか
・トレーラのレッグ(脚)は完全に格納されているか
・灯火器用電源カプラリングの接続は完全か
・ABS(アンチ・ロック・ブレーキ)電源カップリングの接続は完全か
※フル・トレーラの連結はドローバーアイとピントルフックで確実に行いましょう。
安全のためのセフティーチェーンも忘れずに!
トラクタ・トレーラを運転するときに注意すべき点
最近のトラクタ・トレーラ事故原因を分析した結果、次のとおり、運転の際に注意する必要があります。
1、鉄道等のガード下では高さ制限 に注意しましょう。
2、踏切を通過するときは、低床トレーラの「ハラツキ」や、渋滞等による踏み切りでの立ち往生がおこらないよう注意しましょう。
3、ゆるやかな下りカーブでは、速度を落とすようにしましょう。
4、追突事故を防ぐために、十分な車間距離を保ち、常に早めのブレーキを心がけましょう。
トレーラドライバーの方は、上記の注意事項をしっかり守ってらっしゃるかと存じます。
今後も安全運転で走行をするようにしましょう。
引用参考:トレーラハンドブック~安全運転のポイント
トレーラの特性4
トラックやトレーラは、車体が大きいですよね。
横幅もありますし、高さもあります。
道路を走行する際は、気を付けて運転するようにしましょう。
ガード下の高さ制限
積載物の高さをよく確認し、車高制限のある場所では衝突しないように注意しましょう。
ガード等への衝突事故は、鉄道・道路をストップさせ円滑な交通に多大な影響を与えます
トンネル
トンネルの入口では前車の減速に注意しましょう。
トンネル内を走行する場合には、高さ制限標識、対向車、トンネル内の照明など設置物への接触等に注意のうえ、十分に速度を落として走行しましょう。
雨天時
雨天時は視界が悪くなり、路面が滑りやすくなります。
雨が降り始めたら、スピードを落とすようにしましょう。
進路変更はしないでください。
トレーラのおもな特性
大型貨物車に比べて内輪差が大きいため、右左折時や大きなカーブの通行時はとくに注意を要します。
2つの車両を連結しているため、トラクタ側にトレーラ側の挙動が伝わりにくく、トレーラ側に傾き等の異常が発生してもドライバーの感知が遅れる場合があります。
セミトレーラでは、後退時のハンドル操作が大型トラック等のほかの車両と違います。
空車時と積載時の重量の差が大きく、積載状態により車体の重量バランスが異なり、運転感覚に大きな違いが生じます。
あわせて、トラクタのみで走行する場合は、さらに車体の重量バランスに違いが生じるため慎重な運転が必要です。
ゆるやかな下りカーブでは、スピードの出し過ぎやハンドル操作に注意しましょう。
特殊車両通行許可制度について
一般的制限値
道路法では、道路を通行する車両の大きさや重さを次のとおり制限しています。この制限値のことを「一般的制限値」といいます。
■ 幅2.5m・長さ12m・高さ3.8m・総重量20t・軸重10t・輪荷重5t
■ 隣接軸重
・隣り合う車軸の軸距が1.8m未満の場合は18t
(ただし、隣り合う車軸の軸重が1.3m以上、かつ隣り合う車軸の軸重がいずれも9.5t以下のときは19t)
・隣り合う車軸の軸距が1.8m以上の場合は20t
■ 最小回転半径12m
『特殊な車両』が道路を通行する場合、『特殊車両通行許可』が必要
この一般的制限値のいずれかの値(幅・長さ・高さ・総重量)を超える車両『特殊な車両』が道路を通行する場合は、『特殊車両通行許可』を必要とします。
「車両の構造が特殊」
車両の構造が特殊なため一般的制限値のいずれかの値を超える車両で、トラッククレーン等自走式建設機械、セミトレーラ連結車の特例5車種(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車の運搬用)のほか、あおり型、スタンション型、船底型の追加3車種。
「貨物が特殊」
分割不可能のため、一般的制限値のいずれかの値を超える建設機械、大型発電機、電車の車体、電柱などの貨物。
通行に係る遵守事項
通行許可を受けて通行するときの遵守事項
1、書類の携帯
許可証・条件書・経路表・経路図
(包括申請「複数軸種申請を含む」の場合は、車両内訳書も必要)
2、通行時間
通行時間が指定されている場合は、その時間内に通行すること
3、通行期間
許可された期間内だけ通行すること
4、通行経路
許可された経路以外の通行はしないこと
5、通行条件
橋、トンネルなどでの徐行、誘導車の配置等が義務づけられているときには、必ずその措置をとること
6、道路状況
出発前に、道路管理者または譛日本道路交通情報センターに、許可された道路状況を確認すること
通行条件
審査の結果、道路管理者が通行することがやむを得ないと認めるときには、次のとおり条件「A・B・C・D」を付けて許可されますが、許可限度重量および通行許可条件は、個別の車両の諸元[最遠軸距離等]および道路構造[橋梁の強度等]により異なります。
※許可限度重量は車検証の記載重量とは異なります。
A.条件を付さない
B.徐行および連行禁止
※連行禁止
「2台以上の特殊車両が縦列をなして同時に橋、高架の道路等の同一径間を渡ることを禁止する措置」
C.徐行・連行禁止・当該車両の前後に誘導車を配置
D.徐行・連行禁止・当該車両の前後に誘導車を配置
かつ、2車線内に他車が通行しない状態で当該車両が通行すること。
また、道路管理者が別途指示する場合はその条件も付加します。
トレーラが道路を走行する際には、多くの条件が付与される場合があります。
道幅や運ぶものによっても変わってくるかと思われますので、しっかりと確認し業務を遂行しましょう。
引用参考:トレーラハンドブック~安全運転のポイント
トレーラの特性3
トラックやトレーラドライバーの皆さんは、夜間などの暗い中、運転をすることは多いですか?
昼間の明るい状態とは異なり、見えにくい箇所も出てきますよね。
どのようなことに注意すれば良いのか確認していきましょう。
夜間
大型車の夜間運転視界
トラクタの運転席から見た視界と乗用車の視界には大きな違いがあります。
このためトラクタなどの大型車は、いつの間にかうつむき加減の楽な運転姿勢をとってしまうので、無意識のうちに視線は下向きになり、足元(直近の路面)を覗き込むように走行します。
とくに、高速道路での夜間走行ではヘッドライトの照射範囲に限られ、ますます下向きのまま視線が固定されがちになってしまいます。
しかし、常時下向きでいるわけにもいきませんから、視線を上げて前方を見なければなりません。
そのため、トラクタのドライバーは無意識に視線の上下運動を繰り返し、単調な眼球動作になります。この動作はドライバーが眠くなる危険性をはらんでいますから注意が必要です。
ドライバーの目とライト(前照灯)の位置が離れているため、目に返ってくる反射光が少なく、歩行者などの発見遅れを招きやすいです。
とくに、右方からの横断歩行者は発見しにくいので注意しましょう。
乗用車と比べて、前照灯から照射された光を上から見下ろすため、足元だけが明るく、前方が暗闇になることが多いです。
トラクタ
視界が分断され、灯りが路面上のものかどうか判断しにくいです。
乗用車
路面上の灯りが連続した視界のなかで認知できます。
交差点
内輪差・側方の死角に注意
狭めの道路を左折する場合など、トラクタ・トレーラは内輪差が大きいため、一旦右に振ってから曲がることがあります。
また、左側のミラーに映る範囲も狭く、左後方の死角が大きくなり、二輪車などを見落とし、巻き込むことがあります。
右折時は、右折する側の道路に停止している車にトレーラ部分が接触することがありますから、右左折時には、側方や後方など周囲によく目を配るようにします。
カーブ
きついカーブでの対向車線のはみ出しに注意してください。
右カーブではトレーラの後部
右カーブの場合は、トレーラの内輪差により後輪が道路内側に寄ります。
左カーブではトレーラの前部
左カーブの場合は、トレーラの前部はトラクタより外側に張り出した状態 になります。
車線変更
連結車両は全長が長いので、追い越しや車線(進路)変更はできるだけ避けるようにします。
追い越しを行う場合は、非常に長い距離が必要になるので、前後に十分余裕があるときに行うようにします。
後続車両に追い越されるときは、追い越されるのが終わるまで自車の速度を上げないようにします。追い越し車両が直前に割り込んでくることもあるので注意してください。
車線(進路)変更を行う場合は、目視をはじめ、バック・ミラーなどで安全を確認し、ウインカーで早めに合図をして、後続車などが気がついたと思われるのを待ってから進路変更するようにします。
トレーラ走行時の挙動は速度、ハンドル操作に大きく依存します。
進路変更等の際、トラクタの運転席ではトレーラの挙動が伝わりにくいため、トレーラのタイヤが浮いている状態でも、運転席では認識できません。
また、3軸車に比べて2軸車トレーラの方がロール角度が大きい傾向にあります。2軸車トレーラはより注意が必要です。
実際には、気象条件、道路コンディション、積荷の積載状況、運転方法等により、条件が異なるため、これまで安全だった速度以下でも、横転する可能性は十分にあります。
急勾配路
下り坂ではエンジンブレーキや排気ブレーキの活用を
長い下り坂を走行する時は、トレーラブレーキを使用しますが、単独使用を避け、排気ブレーキ、リターダブレーキ等の補助ブレーキを併用して、速度を落とします。
急な上り坂ではトラクタとトレーラが接触したり路面にシャーシが衝突することもあります。
踏切
踏切の安全な通過方法
低床トレーラはとくに「ハラツキ」に注意しましょう。
低床式トレーラなどは、盛り上がっている踏切路面で「ハラツキ」になり、立ち往生するケースも見られます。下車してよく確認しましょう。
橋梁の継目や舗装の段差があるとハンドルをとられたり、トレーラにおされたりして車両が不安定になることがあります。
踏み切りを渡った先の状況もよく注意しましょう。
渋滞等による踏み切りでの立ち往生や車体の後部が踏み切りに残るおそれがある場合は進入しないようにしましょう。
車体の長さを考えて行動しましょう。
道幅の狭い踏切では落輪しないよう十分注意してください。
対向車があってすれ違うのがギリギリの場合は、対向車を先に通しましょう。
トラックやトレーラが気兼ねなく通れる道路はもちろんですが、狭い道は本当に気を付けて走行するようにしましょう。
とくに脇道の多い狭い道は、できるだけ避けるようにすることも良いかもしれません。
引用参考:トレーラハンドブック~安全運転のポイント