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トラック運行管理業務「過積載の防止」
トラックやトレーラドライバーの皆さんは、過積載についてどう考えていますか?
過積載は、通常よりもブレーキが利きにくくなるなど、交通事故の要因となることもあります。
周囲はもちろん、自身の安全のためにも、過積載をしないようにしましょう。
過積載自動車の運転禁止
事業者は、最大積載量を超えて積載するような運送(過積載による運送)の引受け、過積載による運送を前提とする運行計画の作成及び運転者その他の従業員に対する過積載による運送の指示をしてはなりません。
事業者は、過積載による運送の防止について、運転者その他従業員に対する適切な指導及び監督を怠ってはなりません。
交通事故の要因
制動距離が長くなる。
過積載運転時の制動距離は、通常運転時に比べ長くなり、追突等の危険性が高まります。
車両のバランスを崩しやすい。
過積載をすると一般に重心が高くなり、バランスを崩しやすくなります。重心が高くなると、走行中の左右の揺れがひどくなり走行が不安定になります。
また、遠心力が大きくなる分、カーブを曲がる時に曲がりきれず対向車線にはみ出したり、横転する危険性が高まります。
下り坂はブレーキが利きにくくなる。
重量に比例して慣性力が増加しますので、過積載で走行すると通常よりもスピードが増します。
そのため、スピードを制止しようとする力も大きくなりますから、通常どおりにブレーキを使用していても、下り坂での過積載車両のブレーキ負担は大きくなり、フットブレーキを使い過ぎると、ブレーキライニングが過熱しブレーキが効かなくなるフェード現象を起こす危険性があります。
衝撃力が増大する。
衝突時の衝撃力は、重量とスピードに比例して大きくなります。過積載運転は、定量積載運転時よりも重量が増していますので、車両が衝突すると、強い衝撃力を与えることとなり、死亡事故や重大事故につながる可能性があります。
ジャックナイフ現象(トレーラの場合)が起こりやすい。
過積載時は、定量積載時よりもトレーラ部分がトラクタ部分を押す力が大きくなるため、ハンドルを切ったりブレーキを踏んだりしたときに、トレーラ部分とトラクタ部分が「く」の字に曲がるジャックナイフ現象が起こりやすくなります。
交通公害の要因
排気ガスによる大気汚染
ディ−ゼル自動車の排気ガスに含まれる有害物質で、特に排出量が問題となっているのが、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)等です。
このうち NOx は、光化学スモッグや酸性雨の原因となり、また最近では、PM が人体に及ぼすさまざまな影響を指摘され、この対策が大きな社会問題に発展しています。
過積載運転は、低速ギヤを多用した高回転走行になりがちなため、こうした汚染物質が通常以上に排出され、環境汚染に一層の拍車をかけることにもなります。
騒音や道路・車両への悪影響
過積載運転は、エンジン音が大きくなるばかりか、タイヤの早期摩耗、路面との摩擦による騒音の増大、車両、道路、橋梁の寿命の短縮の原因となります。また、燃費が低下するためエネルギーの無駄使いにもなります。
過積載に対する措置
過積載車両に対しては、法的に次の措置が取られます。
1、車両が過積載をしていると認められる場合は、警察官により車両の停止と自動車検査証の提示がもとめられ、積載物の重量測定をされます。
過積載車両の運転者に対しては、過積載分の荷物を下ろす、代車に積み替える等、過積載とならないための応急の措置を取ることを命じられます。
その場で措置をとれない場合には、警察官から通行区分や経路その他危険を防止するために必要な措置が指示された「通行指示書」が交付されます。
2、荷主も、運転者に過積載を要求したり、過積載になることを知りながら荷物を運転者に引渡しをすることが禁じられています。
荷主が、過積載の要求を繰り返し行なえば、警察署長より過積載の再発防止命令を受けたり、貨物自動車運送事業法第 64 条により国土交通大臣から過積載を防止するための勧告を受けることがあります。
貨物自動車運送事業者の過積載違反に対する処分
貨物自動車運送事業の運転者による過積載違反については、道路交通法第 108 条の34(使用者に対する通知)の規定に基づき、公安委員会から運輸支局に対して通知がされます。
通知を受けた運輸支局は、監査等を実施し、処分基準に従い車両停止等の処分を決定し、その結果を公安委員会に回報する仕組みになっています。
自動車等の使用停止処分は、自動車の自動車検査証の返納及び自動車登録番号標の一時返納を受けることとなります。
荷主への協力依頼
運送事業者が荷主に対して過積載運転をさせないように、重量証明を得る、運送契約に重量を明示する等の協力を仰ぐことが必要です。
トラックやトレーラドライバーの皆さんはもちろん、業務に関わる全ての皆さんできちんと把握していきましょう。
引用参考:「運行管理業務と安全」マニュアル