物流の効率化を支える税関の検査機器


目次


 

2022年 税関は
税関発足150周年を迎えました。
 
1872年、明治5年11月28日
今日の税関の前身である「運上所」から改称され
正式に発足して以来、日本の貿易の健全な発展と
安全な社会の実現に大きな役割を果たしています。

 

<税関とは>

 

江戸時代末期、鎖国から開国へと歩む中、
貿易のために開かれた港には「運上所」という税関の前身が置かれました。
 
「税関」として正式に発足して以来
時代の変化とともに税関行政の機能を強化し
新たな制度及びシステムを導入を進め
近年では通関手続きのデジタル化も取り組まれるようになっています。
 
税関は 開港場・空港・国境などで、
貨物の輸出入の許否、関税・トン税などの賦課・徴収、
船舶・航空機および旅客の携帯品/密輸品の取り締まりなど
の事務を取り扱う官庁で 財務省の地方支分部局になります。
 
日本では
 
函館、東京、横浜
名古屋、神戸、大阪
門司、長崎、沖縄地区 に設置され、それぞれの地域を管轄しています。
 

 
税関では以下の3つの大きな使命のもと、
国内関係機関や関係業界、
さらには各国の税関や国際機関などと連携・協力しながら、適正な税関行政の運営に取り組んでいます。
 

* 「安全・安心な社会の実現」
 
銃器・不正薬物等の密輸阻止を最重要課題とするとともに、
我が国におけるテロ行為等を未然に防止することにより「世界一安全な国、日本」を築く。

 

* 「適正かつ公平な関税等の徴収」
 
国税収入の約1 割相当を徴収する歳入官庁として、適正かつ公平に関税等を徴収する。

 

* 「貿易の円滑化」
 
国際物流におけるセキュリティを確保しつつ、通関手続を一層迅速化する。

 

<輸出入禁止の品目>

 

私たちが海外旅行の際、空港で行われる荷物検査
これが 一般の人に最も身近に感じられる税関の役割でしょう。
 
ワシントン条約で定められている規制対象の希少動物の密輸や
日本の貴重な果物の持ち出し、偽ブランド品の大量発覚といったニュースも耳にされたことがあるのではないでしょうか。
 
税関は、このような違法な輸出入を防ぎ物品や物質の点検や
貨物等の輸出入に関する申告が正しく行われているかどうかを審査し、
必要な検査を行います。
 
「関税法」により 輸出入が禁止されているものが定められています。
 

・ 麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤(覚醒剤原料を含む。)

 

・指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)

 

・けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品

 

・爆発物/火薬類

 

・化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第3項に規定する特定物質

 

・児童ポルノ

 

・特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権又は育成者権を侵害する物品

 

・不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号まで、第10号、第17号又は第18号に掲げる行為(これらの号に掲げる不正競争の区分に応じて同法第19条第1項第1号から第5号まで、第7号又は第9号に定める行為を除く。)を組成する物品

 
また、貨物によっては
「食品衛生法」「食物防疫法」「家畜伝染病予防法」などの
法令手続きが必要となるものがあります。
 
 

<特殊機材の活用>

 
 
税関では移出入物品の検査を効率的かつ正確に実施するため、
様々な特殊機材などが使用されています。
 
例えば、「麻薬探知犬」もその一つで、
空港で見たことがある、という方も少なくないでしょう。
 

 
麻薬探知犬は
嗅覚により、荷物の中に隠された麻薬などの不正薬物を探知するよう専門の訓練を施された犬で
全国の税関に配置されています。
近年は薬物のほか、爆発物や銃器をも探知できる新たな訓練を施された探知犬も配置されているそうです。
 
他にも 船内検査や輸出入貨物検査で直接目視できない奥まった
狭小な場所を確認する時に使用するファイバースコープ
金属探知機、爆発物車載型探知装置といった機材も使用されています。
 
貨物の検査を効率的に行える検査装置として重宝されているのが
X線検査装置」になります。
 
荷物・貨物を開披せずに内容物の検査が可能であることから、
適正・迅速な通関が可能で
国際空港や国際郵便交換局内の税関出張所、
港湾のコンテナヤード出入口に設置されています。
 
船で運ばれる荷物は大型のものが多く、
大型トレーラーやコンテナをそのまま収容して検査する大型X線検査装置や、
2トントラックシャーシに架装し、必要な場所に移動して検査を実施できる車載型X線検査装置もあります。
 
2007年には 「車載式後方散乱X線検査装置」が導入されました。
従来の透過型の X線検査装置と異なり、
X線を貨物に向かって照射し、対象貨物の横を低速で通り過ぎるだけで検査が可能となりました。
 
このような大型装置は年々性能や精度が向上し、

最新装置の仕組みは、X線を発生させる電子線加速器によりコンテナ内部を透視、
作画して異物の混入を検査することができ
1回の検査時間を約2時間から約10分に大幅に短縮することが可能になったといいます。
 

 
検査作業の効率化と巧妙化する不正輸入の手口に対応するため、
検査技術も日々進化を続けています。
 
膨大な輸出入量を管理しなければならない税関の役割が非常に重要な中で
省人化および物流の効率化・迅速化を図ることが可能な装置のさらなる向上に期待したいですね。
 

<まとめ>

 

税関では日本の「関所」として
海外と日本で取引されている輸出入品を日々審査や検査業務をする機関です。
そこで使用されている様々な特殊な機材により
密輸や違法な物品を効率的に迅速に検査しています。

 

 

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年末年始休業のご案内


平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。


さて、誠に勝手ではございますが、当社の年末年始休業につきまして下記の通りとさせていただきますので、ご案内申し上げます。


何卒ご理解頂きますようお願い申し上げます。


◆年末年始休業期間:2022年12月29日(木)~2023年1月4日(水)


年末年始休業期間中のお問い合わせにつきましては、年末年始休業期間後に順次対応させていただきます。


ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承いただきますようよろしくお願いいたします。

年賀状・暑中見舞廃止のお知らせ



拝啓


時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。

日頃は格別のお引き立てをいただき、ありがたく御礼申し上げます。


この度、弊社は近年の虚礼廃止の流れや自然環境意識の高まりなどを鑑み、すべてのお取引先企業様に対し、年賀状・暑中見舞によるご挨拶を控えさせていただきます。


誠に勝手ではございますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。


引き続き倍旧のご厚情を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。


敬具


令和4年12月

株式会社 岩瀬運輸機工
代表取締役 遠藤育完

電動キックボードの飲酒運転に注意。違反状況と求められる交通ルールの徹底


目次


若者を中心に利用者が増えている「電動キックボード」

 

電動キックボードとはキックボードに原動機(電動モーター)を装備したもので、手軽に乗れる新たなパーソナルモビリティとして注目されている乗り物です。都心では毎日のように見かけるようになりましたが、一方で交通ルールを無視した運転や危険な運転の増加が懸念されています。

一般の電動キックボードは原付と同じ扱いですが、シェアリング会社が貸し出しているキックボードは特例により、「小型特殊自自動車」の扱いになり、ヘルメットを着用せずに公道を走ることができます。ただし、原付以上の運転免許は必要で、道路交通法等について正しい知識を身に付けてから運転しなければなりません。

 

今回は電動キックボードの危険運転と交通ルール、大型車両がキックボードと遭遇した際の注意点などを解説したいと思います。

※2022年3月の道路交通法改正により電動キックボードは新設される「特定小型原動機付自転車」となり、16歳以上という条件を満たせば免許は不要となります。ただし、2022年12月時点ではまだ施行されていないため、公道での運転には運転免許が必要です。

 

<電動キックボードの事故件数>

電動キックボードの利用者数に比例して交通事故発生件数も増加しています。

警視庁によると、電動キックボードを当事者とする2021年の都内の交通事故は68件、そのうち人身事故は18件、物損事故は50件確認されました。2022年は8月末の時点ですでに80件発生していて前年の数を上回っています。

 

今年9月、全国で初めて事故による死者が出てしまいました。

事故に遭った男性は、マンション内で運転中、方向転換して走り出そうとした際に車止めに衝突。前から倒れて頭を強く打って亡くなったということです。当時男性はヘルメットをつけておらず飲酒運転をしていた可能性があると見られています。

 

事故ではない交通違反取扱い件数についても、公表されています。2021年中は207件で、そのうち55件はシェアリング車両の利用者、152件は個人所有の利用者でした。違反の内容のほとんどは、歩道を通行するなどの通行区分違反でした。便利で手軽に運転できることから安全運転への意識が薄くなることが懸念され、利用者への交通ルールの周知徹底が求められています。

 

<飲酒運転>

電動キックボード利用者の飲酒運転が多発しています。

電動キックボードは法律上、車両にあたることから公道を走る際には運転免許が必要で、飲酒運転は取締りの対象になります。飲酒運転をすれば車や二輪と同様に重い罰則が課されます。全国各地では飲酒運転の取り締まりが行われ、電動キックボードの摘発も相次いでいます。

 

飲酒運転は重大な犯罪、自転車であっても飲酒運転は禁止です。「違反になるとは知らなかった」では済まされません。警視庁によると、都内では今年に入り、5月8日までに10~30歳代の男女13人がスケーターの酒気帯び運転で摘発されました。このうち12人が大手シェアリング会社の利用者で、時間帯はいずれも深夜から早朝だったといいます。公共交通期間の運転が終了し終電を逃した若者たちが、タクシー代よりも安く手軽に乗れることから、利用しているとみられています。

 

これにより運営会社では警察と協議し、繁華街の一部の貸し出しポートでは、深夜・週末の時間帯、電動キックボードの利用を一時制限することを決めました。(7月1日〜8月末まで、現在は不定期での実施。) また多発する飲酒運転対策として、利用者に飲酒運転は違法だと警告し、「飲酒運転が発覚した利用者はアカウント凍結される」旨や、法律上も罰則規定がある点を強調する内容にアップデートしたといいます。キックボードが原付と同じ扱いだという意識を持ち、利用者に乗車前の安全教育を行う必要がありそうです。

 

<電動キックボードの交通ルール>

街中で見かけることの多いシェアリング会社が貸し出しているキックボードは「特例電動キックボード」に分類されます。新事業活動実施区域を走行する場合において、政府より特別な措置(特例措置)を受けています。一般の電動キックボードとは寄生が異なる点があります。今回は特例電動キックボードを利用する時の注意事項を確認します。

 

・道路交通法上の扱いは「小型特殊自転車」

 

・歩道は走行することができません。車道の最も左の車両通行帯、普通自動車専用通行帯、自転車道を走行しなければなりません。

 

・ヘルメットの着用は任意(転倒等をした際のリスクを考え、着用が推奨されています。)

 

・車道の逆走は禁止(自転車が走行できる一方通行路は走行可)

 

・飲酒運転は禁止

 

・2人乗りは禁止。子供を背負って運転するのも禁止。

 

・運転中は、携帯電話を手に持って、通話したりメールの送受信等をしてはいけない。

 

・イヤホンをつけての運転はしない。「安全運転義務違反」の対象となる場合がある。

 

詳しくはこちらをご確認ください。

キックボード乗車前の確認事項/LUUP

電動キックボード走行時の違反行為/LUUP

 

<大型車両とキックボード>

キックボードは車体がコンパクトであるがゆえにバランスがとりにくいです。タイヤも小さく、段差や凸凹した路面は転倒するリスクがあります。被視認性が低いため左折時の巻き込みや接触の危険性があります。

 

そんな電動キックボードは道路交通法の改正により、2024年4月から「時速20キロ以内なら16歳以上の免許不要」「ヘルメット着用は任意」になります。交通ルールを知らない、安全教育を受けていない人がヘルメットなしで並走していたらと思うと、とても恐ろしいです。

 

キックボード利用者だけでなく、トラックやバスなどの大型自動車のドライバーにとっても大きなリスクが伴います。

 

電動キックボードと並走する場合は、前後左右ともに車間距離を十分とって衝突を防ぎましょう。

 

今はまだ電動キックボードの普及段階であり規制も曖昧になっているところが多いのが現状です。道路交通法の改正で国内の交通状況に合った規制や交通ルールが適応されるでしょう。

 

<まとめ>

コロナ禍において密を避けて移動できることから普及が進んだ電動キックボード。普及が進むことで危険性や交通ルールの在り方が問題視されるようになりました。重大な事故が発生する前に、私たちができることはルールを知ることです。利用者への講習会参加や正しい乗り方などを徹底する必要がありそうです。

 

とはいえ正しい使い方さえすればとても便利な乗り物です。電車やバスでは行きにくい目的地への移動や、歩くには少し遠い距離の「ちょっとした移動」にピッタリです。観光地の交通インフラの課題を解決するツールとしても注目されています。

 

電動キックボードは短距離移動に適した乗り物です。ルールを守って賢く利用したいものです。

 

参考サイト:

特例電動キックボードの実証実験の実施について/警視庁


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    自動ブレーキとトラックへの義務化


    目次


     

    国土交通省は、
    2025年9月以降発売の新型車のトラックやバスを対象に
    歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)搭載を義務付ける事を発表しました。
     
    加えて2025年1月から車両の後退を周囲に音で知らせるバックアラームも義務化し、
    道路運送車両法に基づく保安基準を2023年1月に改正する方針としています。

     

    <自動ブレーキとは>

     

    自動ブレーキは、正式には
    「衝突被害軽減ブレーキ」
     
    =AEBS(Autonomous Emergency Braking System)
    または「先進緊急ブレーキ」と呼ばれます。
     
    普通自動車の自動ブレーキの国際基準では
    下記の3つのケースで衝突しないことが基準になっています。
     

    ・時速40キロで走行中に、前方に停止している車に衝突しないこと
    ・時速60キロで走行中に、時速20キロで走る前方の車に衝突しないこと
    ・時速30キロで走行中に、道路を時速5キロで横断する歩行者に衝突しないこと

     

    ●自動ブレーキの仕組み

    カメラやレーザーが前方の危険を検知

       ↓

    衝突の可能性を警告音でドライバーに警告

       ↓

    衝突回避又は被害軽減のため自動ブレーキ作動

    自動車に搭載したレーダーやカメラ、ソナーからの情報をコンピュータが解析し、
    ドライバーへの警告音やブレーキの補助操作などを行うシステムで
    居眠り運転や増え続ける高齢者ドライバーによる
    衝突事故の予防と回避、被害軽減に有効とされています。
     

    ●自動ブレーキの効果

    交通事故総合分析センターによると、
    自動ブレーキ搭載車の事故率は
    自動ブレーキ非搭載車比べ減少している統計結果が出ています。

    昼間の車両追突事故は65.1%、
    夜間の対人追突事故は21.8%減少したといいます。

    このように事故率は減少しているデータはあるものの
    自動ブレーキシステムはメーカーや車種によってその性能は異なりますが、いずれにせよ
    過信は禁物です。
     

     

    <検知装備>

     

    自動ブレーキの先進安全装置は
    各メーカーの技術の向上により 日々改善されてきていますが
     
    自動ブレーキの要は
    緊急停止を促す判断材料である歩行者や車両などの
    障害物、対象物との距離測定機能です。
     
    人間の目のサポートとして用いられる検知装備が
    レーダー、カメラ、ソナーの3つです。
     
    各メーカーは それぞれの特性を生かし
    組み合わせることにより 安全性を高めています。
     

    ★レーダー

     

    前方の視界が悪い場合でも、遠くでも前走車を検知しやすく
    夜間でも昼間と同様の検知能力に長けています。

    肉眼では認識が困難なトンネルの出入り口付近の視界や濃霧の際でも
    この探知機能によりサポートが可能となります。

    しかし、現状ではカメラより費用が高く、コストがかかります。
    また、左右方向に狭い範囲でしか捉えることができません。

     

    ★カメラ

     

    フロントガラスに搭載された二つのカメラにより
    前方の対象物を立体的に認識し、前を走る車との距離を計測可能で
    障害物のみならず白線にも対応できます。
    単一のカメラを採用している車種もあります。

    レーザーに比べ 比較的安価で搭載でき、
    加えて ワイパーで汚れを除去できる位置に設置されているため
    汚れによる認識機能の低下は避けられます。

    ただし 人の目と同様に 天候不良の時等の視界不良の際や
    前方がガラスの場合には
    カメラの認識能力も低下してしまいます。

     

    ★ソナー

     

    遠い対象物の検知は不向きなものの
    近距離の障害物やガラス面に対して
    探知する機能に長けているのがソナーです。

    ブレーキとアクセルの踏み間違えを判断し
    緊急停止を促すサポートには
    カメラよりも誤検知のリスクが少ないとされています。

     

     

    <自動ブレーキの義務化>

     

    既に 2021年11月から
    乗用車両と軽乗用車両の国産新型車においては
    歩行者対応の自動ブレーキ装置が義務化されていますが
     
    実はトラックにおいての自動ブレーキ義務化も
    2014年11月から開始されており、段階的に厳格化されてきています。
     
    国土交通省は、2025年9月以降に販売される
    新車のトラックやバスにも 厳格化された基準の
    自動ブレーキの搭載を義務付けると発表しており
     
    トラックは総重量3・5トン超
    バスは定員10人以上が対象の車両となります。
     

     
    大型トラックによる追突事故の死亡率は乗用車の約12倍と高く、
    自動ブレーキにより追突事故の死亡事故件数の約80%が削減可能
    と非常に高い安全効果が見込まれています。
     
    しかしながら 自動ブレーキはあくまでもドライバーの
    「万が一」のサポートです。
    いかなる車両を運転するドライバーは
    自動ブレーキを過信することなく
    常日頃から安全運転、安全対策を怠ることなく
    ハンドルを握って欲しいものです。
     

    <まとめ>

     

    レーダー等によって危険を検知しドライバーへの警告や
    衝突回避又は被害軽減のため自動的にブレーキが作動する技術
    「自動ブレーキ」の搭載が段階的に基準や対象が厳格化されています。
     
    しかし この装備はあくまでもドライバーのサポート機能です。
    過信することなく安全運転を心がけましょう。

     

     

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    雪道運転の注意点と対策。トラックやトレーラーが備えるべきことは?


    目次


    雪道は通常の道路よりもたくさんの危険が潜んでいます。雪国はもちろん、近年は首都圏でも思いがけない降雪があるため他人事ではありません。トラックやトレーラーが安全に走行するためには、どのようなことが起こり得るか、事前に知っておくことが大切です。今回は雪道を走る上での注意点や対策、運転方法を解説いたします。本格的な寒さが来る前に「冬支度」をして備えましょう。

     

    <クルマによる雪道での事故>

    降雪時、降雪後には路面の凍結や視界不良による事故に注意が必要です。雪が降る地域では特に以下の2つに気をつけましょう。

    ・スリップ事故

    冬季における交通事故で最も件数が多いのがスリップによる事故です。薄く雪が積もっている程度でも、凍結によるスリップは十分に考えられますので油断は禁物です。河川などにかかる橋は冷たい風が吹き抜ける場所が多く、凍結しやすいので注意しましょう。

    ・ホワイトアウト

    ホワイトアウトは、雪によって視界が奪われてしまう気象現象です。吹雪や大雪が降ると、地面の雪が舞い上がって視界を遮ります。一瞬にして位置感覚や空間認識を失うことから“白い闇”とも言われています。視界の悪化は晴天時にも起こり、雪面は太陽の光の反射によって非常に眩しく見えます。トンネルから出た時に一瞬前方が見えなくなることもあります。毎年ホワイトアウトによる多重事故が発生しています。視界不良の時は、十分な車間距離でスピードを控えめに。少しでも不安を感じたら、安全な場所で停車し、天候の回復を待ちましょう。

     

     

     

    <注意の必要な場所と状況>

    雪国の人が、雪の少ない地域の人と比べて雪道での事故が少ないのは、運転技術が高いからではありません。それは、今までの雪道での運転経験により、危険な場所や状況を予測しながら運転しているからです。雪道に不馴れな人でも、雪道で注意すべき場所をあらかじめ知ってから走行することで、危険を回避する確率もグンと上がります。 

    ・峠道

    峠道は、急カーブや日陰部分が多く、凍結し非常に滑りやすくなっています。山間部ということもあり、気温や天気の変化も激しいため、特に注意しましょう。 

    ・長い坂道

    雪道の坂道が怖いのは、車の荷重が4つのタイヤに均等にかからなくなるためです。登り坂では前輪の負荷が軽くなり、ハンドル操作に影響します。

     

    また、後輪の負荷が高くなることにより摩擦力の低い雪道では後輪がスリップしやすくなります。坂道で停車してしまうと再発進することが難しくなるため、登り坂では途中で止まらずに、できるだけ一気に登りきるようにしましょう。停止してからの再発進は、ゆっくりとゆっくりと、丁寧にアクセルを踏み込んで発進するようにしましょう。

     

    一方、下り坂では、後輪の負荷が軽くなるので、車両のお尻が振られやすくなります。そのため下り坂では細心のハンドル操作とブレーキ操作が必要です。ちょっとしたハンドル操作でも、後輪の接地が弱いために、横滑りする恐れがあります。勾配が緩やかであっても、一度スリップし始めればコントロールが全く効かなくなります。玉突き事故が起こりやすいので、一定速度で慎重に走行しましょう。 

    ・早朝の舗装路

    想像以上に、滑りやすくなっていることがあります。凍結した路面に、薄雪が積もっている場合は一段と滑りやすくなります。交通量の少ない時間帯に走行するときは、特に気をつけましょう。

    また停止線付近は、ブレーキ・発進が繰り返し行われているため、凍結した路面が磨かれたようにツルツルになっていることが多いようです。停止線を示す標識より少し手前で止まる気持ちが大切です。 

    ・トンネルの出入口

    通常のトンネルの出入口でも、基本的には減速ですが、雪道ではさらに注意が必要です。山からの吹きさらしの風があたり、出入口周辺のみ凍結していることが多々あります。速度を出したままトンネルを出ると、そこは雪道です。

    トンネル内で濡れたタイヤで飛び出すと、急な路面変化によって車両の姿勢を崩してしまうことがあります。トンネル自体も緩やかに傾斜があることが多いので、減速して通過しましょう。

     

    <アイスバーン(路面凍結)に注意>

    アイスバーンとは路面の水分が凍結することを指します。ツルツルとしていて、スケートリンクの上を走っているような状況になります。

     

    ・圧雪アイスバーン

    圧雪路とは、降雪後に車が走行することで、雪が踏み固められた道路のことです。タイヤで磨かれてツルツルしている状態なので、凍結した道や雪が積もったばかりの道よりは走りやすいと言われています。

    ・ブラックアイスバーン

    ブラックアイスバーンとは、一見すると濡れたアスファルト路面のように黒く見えるのに、実は表面が凍りついている路面のことです。濡れた路面と区別がつきにくく油断してしまいがちです。昼間に積もった雪が解けたときや、雨が降った後の冷え込みが強くなる夜間や明け方は注意が必要です。

    ・ミラーバーン

    クルマの往来によって路面が鏡のようにツルツルに磨かれた状態を言います。特に発進や停止が頻繁に行われる交差点付近でよく起きるもので、もっとも滑りやすいと言われている危険な路面状態です。停車時や発進時のスリップの原因となり、追突など重大な事故につながる危険性があります。

     

    <トラックの基本的な雪道対策>

    ・タイヤ

    道路交通法等により、積雪又は凍結のため滑るおそれのある道路において運転するときは、タイヤチェーンを取り付け、又は全車輪にスノータイヤやスタッドレスタイヤ等を取り付けることが義務付けされています。違反すると罰則の対象となります。非降雪地域でも積雪・凍結した路面をノーマルタイヤの自動車で走行することは法令違反です。いずれの都道府県でも違反した場合、大型車は7000円、普通車は6000円、自動二輪車は6000円、原動機付自転車は5000円の反則金が課されます。(沖縄県を除く) 

     

     

    ・タイヤチェーン

    タイヤチェーンはタイヤの外周に装着する滑り止め用の器具です。スタッドレスタイヤをはいていたとしても、タイヤチェーンは雪道を走る際に有効なので、常備しておきましょう。

     

    タイヤチェーンを装着することで滑りやすい登坂もより安全になります。後輪がダブルタイヤの車両の場合は、豪雪地帯ではダブル用トリプル形チェーンを装備しましょう!突然の大雪や豪雪に見舞われるとシングルタイヤ用チェーンでは脱出不能になる場合があります。

     

    雪道以外では、装着した状態で高速走行はできないので、必ず現地で装着しましょう。寒い車外では慣れないチェーン装着をする必要があるので、時間にゆとりを持って行動しましょう。

     

    ・霜降り対策

    ◎解氷剤

    市販されている車のガラス用解氷剤が効果的です。解氷剤のエタノールやイソプロバノールの成分は0度でも凍らないアルコール特性を持ち、フロントガラスの凍結温度を下げることができます。フロントガラスに塗布するだけで凍結を解かすことが可能になります。 

    ◎アイス・スクレーパー

    霜、氷、雪を取り除くためのハンドヘルドツールです。手軽で便利ですが、やりすぎるとフロントガラスに傷がつく恐れがあるので注意してください。

    ◎デフロスターをかける

    車内に装備されている「デフロスター」のスイッチをオンにして内気循環で最高温度に設定すると、エアコンの熱がフロントガラスに集中して約10分ほどで視界が確保できます。

    ◎冬用ウインドウォッシャー

    単純に汚れを流す目的で「水」をウインドウォッシャーとして使っていたり、普通のウォッシャー液を薄めて使っている場合、寒冷地ではウォッシャータンクやホース内部でウォッシャー液が凍る場合があります。また、走行中に使用した際にフロントガラスが凍結してしまう恐れがあります。冬には低気温に対応するウォッシャー液が必要です。雪用ワイパーを用いたとしても、豪雪時の走行には寒冷地用のウインドウォッシャー液が必須アイテムになります。ワイパーが拭き取った雪が次第に固まり、さらに蓄積され大きくなって視界の妨げになるのを防ぎます。撥水効果のあるものも販売されていますので準備しておきましょう。

    ✘熱湯をかける

    自動車のフロントガラスの多くは合わせガラスとなっています。熱湯をかけることは大変危険です!霜がついたガラスの表面温度は0度以下、そこにお湯をかけると外側のガラスは急激な温度変化により膨張してしまいます。外側のガラスと内側のガラスの温度差によって亀裂が生じ、ガラスが破損に繋がることがあります。

     

    <安全走行こそ最強のドライブテクニック>

    ・「急」のつく運転は事故のもと

    雪道を走行するときは、急発進、急ハンドル、急ブレーキは厳禁!路面凍結時にはコントロールを失ってしまうこともあります。また、急いでスピードを出し過ぎすぎるのもとても危険です。冬は、時間にも余裕をもって出かけましょう。

    ・「車の性能」=「安全」ではない

    4WD(四輪駆動)、4WS(四輪操舵)、TCS(トラクション・コントロール・システム)、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、など最近の車は安全性を高める機能が搭載されるようになりました。しかし、これらは「走る、曲がる、止まる」といった車の基本的な働きを補助するシステムに過ぎません。車の性能を過信せず、無理な運転をしないことを心がけましょう。 

    ・速度を抑えて走行

    スピードの出し過ぎは、チェーンの膨れ上がりによる車体への接触でチェーン切れの原因となります。 

    ・確実な装着と十分な点検を実施

    チェーンの緩み、ゴムバンド等のフックへの掛け忘れはチェーン脱落の原因となります。また、チェーンの磨耗・損傷はチェーン切れの原因となりますので定期的な点検を行いましょう。

     

    <雪道走行の心得>

    ・出発前

    運行地域の気象や路面情報、さらには例年の初雪時期を確認しときましょう。余裕をもってタイヤ交換やチェーンなど冬装備の準備ができます。

    また運転する前に、靴についた雪はよく払っておきましょう。雪がついたままの靴ですと、アクセルやブレーキの感覚がいつもと異なります。足が滑ってペダルを踏み外し、思わぬ危険を招くこともあります。

    ・出発直後

    燃料満タン!冬は給油もお早めに!

    雪道は普通の道に比べて燃料消費が早いです。規制や事故による渋滞・ストップ時でも冬は暖房をつけるため、エンジンは掛けっぱなしになります。マイナス10数度にもなる気温の中でガス欠を起こしたら生命の危機に直面することだって考えられます。冬期はいつもより早めの給油を心がけましょう。

    ・走行中

    走行中は車間距離を十分にとり、心と時間にゆとりを持って行動しましょう。急発進、急加速、急ハンドル、急停止は、車両の姿勢を崩すきっかけになる運転は危険です。

    ・到着後

    目的地に着いたら、積雪に備えてワイパーを立てておきましょう。ワイパーを立て忘れると、フロントガラスの雪かきがしにくくなります。更に、ワイパーゴムがフロントガラスに凍りついてしまい、はがすのが大変になることもあります。翌日の朝は、雪かきがあることを踏まえて、早めに出かけましょう。

    <まとめ>

    大雪による交通事故やスリップが原因でトラックが立ち往生してしまうと、周辺道路の大渋滞を招き、迂回路のない地域では大混乱を起こしてしまいます。こうした混乱を起こさないためにも、ドライバーには早めの雪道対策が求められます。余裕のあるスケジュールで、心と車間距離を十分にとった運転を心がけましょう。安全第一、雪道の特性を知り慎重に行動しましょう。

     

     

    参考サイト:雪道対策について/全日本トラック協会https://jta.or.jp/member/anzen/snow2016.html

     


     

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