9月1日 防災の日を前に:物流業界におけるBCP(事業継続計画)

BCP

 
目次


 

災害大国ニッポンと物流の危機

日本は地震、台風、豪雨など、自然災害の脅威と常に隣り合わせの「災害大国」です。近年では、地震や豪雨による大規模な被害が相次ぎ、物流網が寸断され、物資の供給が滞る事態が頻繁に発生しています。
 
また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、物流業界に大きな影響を与えました。感染拡大防止のための移動制限や工場の操業停止により、サプライチェーンが混乱し、輸送コンテナが不足したり、空港・港湾施設が正常に稼働しなかったりなどし、世界的な物流危機を引き起こしたのも記憶に新しいことろです。
 
これらの出来事は、物流が国民の生活や経済活動に不可欠なインフラであることを改めて認識させるとともに、災害や感染症などのリスクに対する備えの重要性を浮き彫りにしました。
 
 

BCP(事業継続計画)とは?

BCP(Business Continuity Plan)とは、企業が自然災害、事故、感染症などの緊急事態が発生した場合でも、重要な事業を継続または早期復旧させるための計画です。
 
物流業界においては、BCPは特に重要です。物流が停止すると、国民生活に不可欠な食料品や医薬品などの供給が滞り、社会全体に大きな影響を及ぼします。
 
 

物流業界におけるBCPの策定・運用ポイント

物流業界におけるBCPの策定・運用には、以下のポイントが重要です。
 
・リスクの洗い出しと評価
どのようなリスクが考えられるか、発生頻度や影響度を評価し、優先順位を付け、自然災害だけでなく、事故、サイバー攻撃、感染症など、様々なリスクを想定する必要があります。
 
・重要業務の特定
事業継続のために不可欠な業務を特定し、優先順位を付ける。
例えば、配送業務、倉庫管理業務、情報システム運用業務などが挙げられます。
 
・代替手段の確保
重要業務が停止した場合の代替手段を確保する。
例えば、代替輸送手段の確保、代替倉庫の確保、バックアップシステムの構築などが挙げられます。
 
・従業員の安全確保
従業員の安全確保を最優先に考える。
避難場所や連絡手段の確認、安否確認システムの導入などが必要です。
 
・情報共有と連携
関係機関や取引先との情報共有や連携体制を構築する。
例えば、行政機関、警察、消防、取引先などとの連携が重要です。
 
・定期的な見直しと訓練
BCPは、定期的に見直し、改善していくことが重要です。
また、机上訓練や実地訓練を実施し、BCPの実効性を確認する必要があります。
 
 

お客様のBCPへの協力

物流事業者は、自社のBCPを策定・運用するだけでなく、お客様のBCPにも協力することができます。
 
・情報提供
災害発生時の物流状況等、お客様の参考となる情報を提供します。
 
・代替輸送
通常の輸送ルートが不通になった場合、代替輸送ルートを確保し、お客様の物流を支援します。
 
・在庫保管
お客様の在庫を一時的に保管し、災害後の供給を確保します。
 
・緊急配送
緊急を要する物資を優先的に配送します。
 
・生産設備の移送支援:
被害を受けた工場から、使用可能な生産設備を他の工場に移送するなど、お客様の事業継続を支援します。
 
 

物流事業者が参考にすべき事例

A社: 大規模地震を想定したBCPを策定し、定期的に訓練を実施。代替輸送ルートの確保や、従業員の安否確認システムの導入など、具体的な対策を講じている。
 
B社: 感染症対策として、一部事務員のテレワークや時差出勤を導入。また、倉庫内の消毒や従業員の健康管理を徹底することで、事業継続を図っている。
 
C社: サプライチェーン全体のBCPを策定。取引先との情報共有や連携を強化することで、サプライチェーン全体のレジリエンスを高めている。
 
D社: 顧客企業のBCP策定を支援するコンサルティングサービスを提供。顧客企業のニーズに合わせたBCP策定をサポートし、サプライチェーン全体の強靭化に貢献している。
 
 

まとめ

自然災害やテロ、サイバー攻撃、感染症など、物流を脅かすリスクは多岐にわたります。物流事業者は、自社のBCPを策定・運用し、緊急事態発生時の対応を事前に準備しておくことが重要です。
 
また、お客様のBCPにも協力することで、サプライチェーン全体のレジリエンスを高め、より強固な物流システムを構築することができます。
 
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