前回は、ドライバーができる3つの安全行動をご紹介いたしましたが、今回は、管理者、事業者ができる対策についてお話しいたします。
トラック運転者の労働時間等の改善基準を元に拘束時間、休息時間を考慮し、予定外でも休憩が取れるような余裕のある運行計画を作成しましょう。もしも遅延が発生したり、ドライバーの急な体調異常が起こったりして運行計画に変更が生じる場合は、荷主へ連絡するなどの必要な措置をとるとともに、ドライバーが焦ることの無いよう配慮します。ドライバーとの信頼関係の構築も大切です。点呼時にドライバーの健康を気にかけたり、日常的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
日常的に、ドライバーが理解しやすいように具体的な指導をし、実施するないようと合わせてなぜそれを実施するのか理由もきちんと説明します。実施の状況を把握できるように、指導内容は、例えば「一般道では車間秒を3秒間確保する」など、できる限り明確な数値を引き合いに出して具体的なものにしましょう。指導するだけではなく、ドライバーがどのくらい理解しているか、指導内容が伝わっているかを確認するため、面談や研修後に感想を記載させたり、後日口頭で確認を行ってください。
確認は1度だけではなく、面談、構内巡回、登場指導などのあらゆる機会を利用して指導内容が実践されているかチェックしてください。日頃から、積極的に交通障害などによる追突事故の危険性を伝え、さらに点呼時には、ドライバーに交通障害に関する情報を伝えましょう。このような指導やチェックの結果は、事業者へ報告することを心がけてください。
朝礼を行ったり、安全管理の注意喚起ポスターを掲示したり、事業所を訪問したりした時などのあらゆる機会を通じて、管理者やドライバーと密にコミュニケーションを取り、安全最優先、法令徹底遵守、継続的な改善の原則を浸透させ、安全風土の確立に努めましょう。また、管理者間の安全に関するコミュニケーションを促すために安全衛生会議などを開き、ディスカッションを行ったり、管理者向けのスキルアップ研修を行い、安全に対する意識を高めあうことも大切です。
追突事故を防止するための衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を十分に理解し、それらを過信しすぎることの無いように活用しましょう。ドライブレコーダーは、事故時の記録のみにとどまらず、車間距離の取り方や発車や停止時などの運転の癖を確認したりと、日常の安全指導に活用することをお勧めします。
日々の安全指導や確認とは別に、自社の安全に対する取り組みを四半期ごとに振り返り、必要に応じて施策を追加したり、内容を変更したりして定期的な改善を心がけてください。
運送に関わる全ての人、ドライバー、管理者、事業者が安全の意識を高めあうことによって、起こりうる追突事故を多数減らすことができます。毎日の輸送をより安全なものにするために、定期的な注意喚起を怠らないよう、努めましょう。
引用参考 「トラック追突事故防止マニュアル~追突事故撲滅キット~」