ドライバーの皆さんはもうご存知かもしれませんが、トレーラのさらなる大型化が進められてきています。
トレーラの大型化によって輸送効率の上昇を目指すというのが理由のひとつです。
この他、さまざまな観点からトレーラ大型化は推奨されています。
物流の効率化や国際競争力の確保の観点から、トレーラにかかわる許可基準の見直し等の措置を講じるため、必要となる関係省令等の改正が平成27年3月に行われ、特定の車種に限って、規制の見直しが行われました。
車両の大型化により、運行の効率化や運行コストの削減が図れると同時に、環境対策にも効果が期待されています。
工ネルギー、温暖化ガス等削減による地球環境の保全
運用する車両台数が減って燃料が削減されることにより、車両から排出される窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO2)の削減効果が期待されます。
運行の効率化 運行コストの削減
一度に積載できる貨物が 増えることにより、車両とドライバーの効率的運用が期待されます。
トレーラの歴史
トレーラは大型輸送や大量輸送に適することから、わが国においても昭和初期頃から一部で導入が試みられました。
しかしながら、その後は軍需用品輸送としてさらに有利性が認められつつも、トレーラの本格的な導入が始まったのは戦後であり、さらにその普及については昭和3O年代以降となります。
また、トレーラに関する車両としての基準等が明確に規定されたのは昭和26年の道路運送車両法で、保安基準においてトラックと同様に一個の自動車としての適用が規定されました。
昭和3O年代後半はわが国の経済発展とともにトラック輸送が活発化する時代でもあり、トレーラによる建設資材や重機等の大型輸送をはじめ、バン型セミトレーラによる大量輸送、あるいは国鉄コンテナ運搬用として活用の幅も広がりました。
一方、昭和36年には道路法の車両制限令により、トレーラの連結状態での規定が定められました。昭和40年代になると海上コンテナが普及し、海上コンテナ輸送用のトレーラの本格的な利用が始まりました。
また、長距離フェリーを活用したトレーラの無人航走や、高速道路網の整備が徐々に進むなかで、急速に増大する輸送ニーズに対応可能なバン型セミトレーラの利用が拡大していきました。
平成時代に入ると、バブル経済終焉とその後の長期にわたる景気低迷のなかで、経済のグローバル化や産業構造の変化が進み、これに対応するためのわが国固有の規制や基準等に係るさまざまな構造変革が進められました。
物流分野においては、トラック事業の規制緩和が実施され、事業者間競争は爆烈さを増し、多様化する輸送二ーズへの対応と経営効率向上のため、輸送の効率化が各トラック運送事業者の重要課題となっていきました。
こうしたなかで、国際的に厳しい車両の重量や寸法に関して、欧米からの市場開放施策としての
強い要望も加わり、トラック及びトレーラの車両総重量の規制緩和措置が講じられるようになります。平成5年には、軸距と車両全長にあわせて、トレーラの総重量が最大28トンまで緩和され、平成1 O年には | SO国際海上コンテナのフル積載トレーラの運行が認められるようになりました。
また、平成15年には、車両総重量36トンを上限として、トレーラによる分割可能な積載物の輸送が、特例8車種に限り認められることになったのです。
他方、大気汚染や地球温暖化等の環境問題が深刻化するなかで、排出ガス及び二酸化炭素の排出削減が課題となり、国の「総合物流施策大綱」においては、物流分野における二酸化炭素排出の少ない交通体系等の形成が盛り込まれ、物流にかかわる工ネルギー問題や環境問題への対応が目標として掲げられるようになりました。
このうち、トレーラ輸送に関しては、積載量の増加による運行コストの低減や、運行と荷役の分離やフェリー等の活用を通じた車両運用の効率化を図るものとし、トレーラ化の推進が課題となっています。
さらに、平成26年4月には、国の規制改革会議 (貿易・投資等ワーキング・グループ)において、物流効率化と国際競争力確保の観点から、| SO国際海上コンテナトレーラとその他のセミトレーラに係る基準の統ーが議論となりました。これを受け、平成27年には、道路老朽化対策の一環として、道路運送車両の保安基準と車両制限令が相次ぎ改正され、バン型等セミトレーラをけん引するトラクタの駆動軸重が1 Oトンから11.5トンに緩和され、車両総重量及び長さ等の制限についても緩和されることになりました。
トラックやトレーラは、日本の物流に欠かせません。
さらなる効率化をはかり、トラックやトレーラそのものの大きな改良も必要となっていくのかもしれません。