熱戦が繰り広げられた北京オリンピックも2月20日に閉幕しました。
日本はこれまで最多だった前回のピョンチャン大会の13個を上回る18個のメダルを獲得しました。
金メダルが3個、銀メダルが6個、銅メダルが9個という結果は大変な快挙ですが、
順位に関わらず 国籍を問わず、
素晴らしい演技や白熱した競技には 心を動かされた方も多いでしょう。
残念なことに 今回のオリンピックでは
不可解な採点、アンフェアな審査等に首を傾げる場面が少なくなかった事に加え
今もなおドーピング問題も解決せずに波紋を広げ続けています。
「ドーピング(doping)」とは、
18世紀南アフリカ共和国カフィール族の戦士が狩猟に出る前に儀式的な舞踊を演じる際に飲んだ興奮剤成分の飲み物(dop)に由来するという説があります。
その歴史は古く
古代ギリシャの競技で使用されたり、レース前の競争馬に興奮剤を投与したり、
最古のドーピング記録として残っているのは
1865年オランダの水泳大会だそうで、
なんとも古くからドーピングが行われていたことに驚きを隠せません。
さらに1800年代にも薬物の蔓延、過剰摂取による死亡者も増えつつあり
1960年のローマオリンピックでは とうとう競技中に亡くなる選手まで出てしまいました。
その後は 選手の心身の安全とフェアプレーを守るために
様々な規制や検査が整備され
現在では 1999年に設立された
世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が中心に
ドーピングの根絶と防止活動等で活動しています。
しかし、
筋力UPのための筋肉ドーピング、
集中力を高める頭脳ドーピング、
持久力や回復力に効果があるとされる血液ドーピングなどの種類だけでなく
ドーピング使用事実を隠す薬物をあわせて投与する「妨害ドーピング」、
さらには
幹細胞技術を活用して
運動能力を大幅に向上させたDNAを身体の中に注入する「遺伝子ドーピング」まで
あると言います。
人々の健康を支えてくれる医療や薬品の技術の発展は望ましいのですが、、、。
2月も終盤となり ずいぶんと陽が長くなり
春の訪れを感じるようになりましたね。
そんな嬉しい訪れとともに
悩ましい季節の花粉の訪れを疎ましく思っておられる方も少なくないでしょう。
すでにドラッグストアの店頭に花粉症の薬が多く並び始めていたりもします。
アスリートだけでなく
トラック、バス、タクシーなどの職業ドライバーは
花粉症の医薬品の服用に細心の注意が必要です。
職業ドライバー300人による調査結果に
花粉症の薬を服用中に
「眠気やだるさを感じたことがある」というドライバーは過半数を超え
「集中力や判断力の低下を感じたことがある」は3割を超えていました。
花粉症の症状である突発的かつ連続性のあるくしゃみによる
ハンドルやペダルの誤操作
また 目の痒みや涙は視界を妨げ集中力を低下といった
運転に支障をきたす症状を抑えるために 治療薬を服用している方がほとんどです。
ドライバーにはどういった薬が適切なのでしょうか
抗アレルギー薬はアレルギーの初期反応である細胞から
アレルギー物質が出るのを防ぐ長期管理型の薬で
花粉症を起こしにくくしてくれます。
効果が期待できるまで2~4週間程かかる為
花粉の飛び始める2週間程前から飲み始め、
シーズン中は飲み続けなければなりません。
日中、眠気を防ぎ、
労働や勉強の活動量を増やす効果がある「ヒスタミン」というホルモンがあります。
このヒスタミンによる活動量を増やす働きが
過剰に活発になると、痒みや鼻水などのアレルギー症状、
花粉症の症状が起こります。
過剰なヒスタミンの活動を抑えるために必要な薬が「抗ヒスタミン薬」になります。
この抗ヒスタミン薬は 種類は様々ですが、
花粉症の症状をすぐに抑える効果があるものの、眠くなる副作用もあります。
この薬が 脳に移行すると、脳内でのヒスタミンの働きを抑えてしまうことで、
集中力や判断力、作業効率などのパフォーマンスの低下が起こることがあり、
これを「インペアード・パフォーマンス」といいます。
インペアード・パフォーマンスは、自覚しやすい「眠気」とは違い、
本人が気づかないうちに生じると言われています。
鎮静作用によって神経の伝達が鈍くなり、眠気やだるさを引き起こし
ウイスキーの水割りを3、4杯を飲んだときのような状況になるそうです。
つまり ハンドルを握るドライバーにとって、
インペアード・パフォーマンスは 大事故と隣り合わせということになります。
抗ヒスタミン薬は、
辛い花粉症のくしゃみ、鼻水や目の痒みを止める効果には
優れているので 医師や薬剤師に相談し
眠気やインペアード・パフォーマンスが起こらない、
安全な運転に支障がない適切な薬を選びましょう。