前回ご紹介した合繊ロープ以外にも、荷崩れを防ぐために正しい固縛を行うための専門の道具があります。
合繊ロープと同様、ワイヤロープも固縛のために頻繁に利用されるロープのひとつです。合繊ロープと同様、キンクの生じるおそれのある箇所や著しく曲がりグセのある箇所はすぐに直しておくようにしてください。雨水にさらされたり、サビやホコリの多いところで使用したときは、サビや油切れの内容に綺麗に拭き取り、手入れを怠らないようにしましょう。ワイヤロープの掛け方も合繊ロープと同様に、結んだり引っ掛けたりして使用すると強度が低下するため、「合繊ロープを使用する時の注意事項」をご参照になって同様の対応を施してください。
使用前、使用後と常に点検をし、以上のあるものは取り替えましょう。例えば、ワイヤロープの径が公称径の7%を超えて減少したものについては使用してはなりません。ワイヤロープのヨリの間で、素線数の10%以上の素線が切断したものを使用してはなりません。よりが戻った状態や変形、型崩れが著しく心鋼が露出してしまったものは使用してはなりません。編組み部分の不完全なものは取り替え、アイスブライズの環部の変形の著しいものは使用してはいけません。キンクしたもの、錆び、腐食、油切れの著しいものは使用してはなりません。
基本的に、合繊ロープとワイヤロープは同じように、結び方や掛け方によって強度が低下してしまうので注意が必要です。こま結び、本結び、引しめなどの結び方をすると、ロープを2本使用するにも関わらず強度が0.5本分まで下がります。引掛け、十字結びの場合はロープ1本分まで強度が下がるので注意してください。また、積荷の鋭い角にロープを直接掛けると切断する可能性があるので、必ずクッション材を用いて固縛します。特に、90度の角度を有する積荷に引っ掛けられたロープの強度は、通常の50%〜60%まで落ちるので、特に注意が必要です。ロープの種類により、張力を加えた時の伸び方に差があるので、これも注意が必要です。たとえば、新品の12mmの太さの繊維ロープを50kgfの力で引っ張った場合、約3〜5cm伸びます。これが100kgfになると約5〜7cm、200kgfになると約8〜12cmも伸びることになります。これが、8mmの太さのワイヤロープの場合、50kgfの力で引っ張ると約0.04cm、100kgfだと約0.07cm、200kgfだと約0.13cm伸びる計算になります。このような伸び率を加味した上で、正しくロープを選んで固縛しましょう。
荷締機には、キトーレバーブロックやフジプーラー、富士式荷締機など様々な種類がありますが、一貫して、レバーブロック、プーラー、ヒッパラーなど、フックの回転部分や鎖、ワイヤロープなどに錆が出ないように汚れを落とし、塗油します。荷締目をする時にレバーにパイプを挟んだり、足で踏むことは大変危険なので絶対に避けてください。鎖部分は、破損を防ぐためにねじれたままでは使用しないよう注意してください。固縛した後の荷締機のレバー及び鎖には、振れ止めを施します。
ワイヤロープや合繊ロープが滑ったり、過度に当たって切断してしまうのを防ぐため、また、積荷が損傷したり接触したりするのを防ぐために、様々なクッション材を使用します。麻袋、当てゴム、ゴム帯、毛布、布団、すのこなどの「ヤワラ」、パイプの半割りなどの「当て金」、薄い板などの「当て板」、矢板、くさびなどの「キャンパー」などがあります。用途に合わせて正しいクッション材を使用し、積荷を安全に固縛しましょう。