毎年11月を過ぎる頃になると話題になるのは 今年を振り返る総決算やランキングですよね
先日5日 今年話題となった言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞2020」の候補が30語発表され
予想通り 今年の世相を色濃く反映する「新型コロナ」関連の言葉が半数以上を占めました。
「ソーシャルディスタンス」「三密」「クラスター」等々
毎日ニュースや報道で見聞きするだけでなく
もはや子供からお年寄りまで日常会話でも使われるようになった新型コロナ用語が並んでいるのですが
それを「流行」として捉えるには やや語弊がある気持ちになる方も少なくないのではないでしょうか
しかし そんな候補語の中で まさに 流行っている!と言えるのが「鬼滅の刃」
コロナ禍の日本で 劇場版は公開わずか24日間で204億円を超え
コミック単行本も一億部突破、既刊全22巻史上初の1位~22位独占といった記録を打ち立て続け
音楽関連、グッズや配信、コラボによる経済効果は数千億円規模とも言われ
菅首相ですら答弁で「全集中の呼吸」と引き合いに出すほど。
もはや主人公の竈門炭治郎少年は 今年の顔としてだけでなく
低迷している日本経済の「柱」とさえ言われています。
新型コロナの感染者が再び増加傾向にある中で
この少年の刃があらゆる業界へ好況の波及効果に繋がることを期待せざるを得ません。
さて 前々回の運搬ブログでは「海運」の中でも一般人に身近な「旅客」について見てきました。
今回は「海運」の中でも 海外物流、海上輸送、海上運搬の要である「コンテナ船」に注目していきたいと思います。
島国である日本では 輸出入のほとんどを海上輸送が担っており
その約6割を「日本商船隊」が占めているといわれています。
日本商船隊というのは
日本のオペレーターが運航する2,000総トン以上 の外航船舶のことで
下記のような様々な種類、約2400隻の船が活躍しています。
・コンテナ船 ・チップ専用船
・原油タンカー ・冷凍運搬船
・LNG(液化天然ガス)船 ・LPG船
・鉱石専用船 ・石炭専用船
・自動車専用船 ・鉱炭兼用船
・穀物船 ・ケミカルタンカー
・木材専用船 ・重量物船など
製品や食料、エネルギーや原料など
運ばれる貨物は 液体もあれば固体もあり
形状や大きさもそれは様々です。
ですので
それぞれの貨物の特徴に合わせ
最も安全で効率的な輸送方法を追求した専用船が作られるようになり
大量輸送の為に近年は大型化も進んでいます。
上記に挙げた貨物船の代表格であり
最速を誇る雑貨輸送の専用船である「コンテナ船」は
1950年代に誕生しました。
衣類や 電気製品などの生活雑貨から危険品まで多種多様な貨物を
国際規格の「コンテナ」に収納して運ぶ事は
梱包の手間を省き、積荷の揚げ降ろしの機械化による効率アップとコストダウンを可能にし
国際定期輸送に画期的な変化をもたらしました。
しかし 新型コロナの影響は
世界的に輸送需要の急激な収縮を受け、
貨物航路の削減や運休が相次ぎました。
フランスの海運調査会社によると、
2020年3月に全世界で運休したコンテナ船は402隻。
その積載容量は約6メートルのコンテナ換算で250万個分に上り、
世界のコンテナ船輸送力全体の11%に達したといわれています。
その後も影響は拡大し
仕事のないコンテナ船が世界中の港でずらりと待機することになってしまい
さらに 世界各地で「コンテナ不足」の事態にもなっていました。
ごくごく普通の家庭では 家に届く荷物といえば ダンボール箱が一般的で
中の荷物を取り出して ダンボール箱はリサイクルゴミに出しますよね
しかし 世界中でコンテナ船が運ぶ「コンテナ」は もちろん使い捨てではないにせよ
荷物を取り出した空のまま船に乗せません。
効率的に輸送するために 荷物が積み込まれたコンテナだけが海を渡れるシステムになっています。
ところが 新型コロナの影響で 世界を巡回していたコンテナに異変が起きました。
中国の工場等が 従来のように稼働できなくなり
著しく輸出用の生産が減ったことにより 空のコンテナが港に残されてしまいました。
そうして 世界的にコンテナが不足する事態になり
スペースの奪い合いや 空コンテナ輸送の費用負担といった
思わぬ輸送費の上昇が深刻化していました。
また新型コロナの影響は「船員」さんたちにも及びます。
日本の大手海運会社の日本人の勤務状況は
「6か月乗船+3か月休暇」が基本的なスケジュールのところを
各国で移動制限や入国制限が行われているため、
下船できても後任者がその港に行けない、
また、そもそも港で下船してもその国に入国できない、という状況で
世界的に船員さんたちは家族のもとに帰れなかったり
過酷な勤務状況が大変深刻化しているというのです。
一日も早く 新型コロナが滅ぶことを祈るばかりです。