赤色灯をつけてサイレンを鳴らし、緊急走行ができる「優先通行権」を有する車両には
パトカーや消防車、救急車などがありますが
輸血に用いる血液製剤を販売する者が輸血に用いる血液製剤の応急運搬のため使用する自動車も
人の命を救うための緊急車両にあたります。
血液の輸送方法は 緊急時を除くと
宅急便や定期便、道路事情によっては新幹線も利用するという陸路の他に
北海道や沖縄など航空便で送る方法も採られています。
さて
明日2月26日は 「血液銀行開業記念日」という日でもあり
今回は「献血」に注目したいと思います。
1930年 ユダヤ人のカール・ラントシュタイナーがABO式の血液型を発見し、
輸血による死亡事故が激減したため ノーベル賞を受賞しましたが
輸血を最初に試みたのは さかのぼること1667年
なんと羊の血液を人に輸血したことが始まりだったそうです。
しかし 当然のことながら 輸血は成功するはずもなく
結果として 輸血禁止令が布かれてしまい、
1818年になるまで 人の血液は輸血されずにいました。
そして 1937年にもなると
アメリカで世界初の「血液銀行」が設立されるまでに技術も医療も進歩しました。
日本では
後の「ミドリ十字」である「㈱ブラッドバンク」が
1951年2月26日に GHQの指示により
日本で初めての「血液銀行」が開業しました。
「献血等」により提供者から採取した血液を保存管理して
輸血に必要な血液を確保し、必要に応じて供給する機関です。
当時は輸血が必要な患者が血液を購入するものだったそうですが
「預金」ならぬ「預血」制度なるものもあり、
健康なうちに血液を預け、預血証書を受け取り、必要な時に払い戻しをする方法で
その預血証書は他人に譲渡することもできたそうです。
今では考えにくいシステムですね。
また「献血等」の「等」とは・・・・・
当時の日本では まだ法規制も今ほど整っておらず
低所得者の収入源として
また安全性や衛生面で不安が伴う「売血(ばいけつ)」が多く扱われていたようで
1964年に「日本赤十字社」と地方自治体のみが取り扱うこととなり
1974年に「預血」制度が廃止されたため、大方、輸血用の血液が献血由来のものに切り替わりました。
例年 心筋梗塞や脳出血などの患者が増加傾向になるのが 冬季になり
そのため 輸血の量も増える季節となるそうですが
今年の冬は 特にいつにも増して輸血用の血液が不足しているそうです。
新型コロナの影響で様々な人が集まるイベントが中止になったりしたため
献血用のバスの派遣先が減少してしまいました。
今のところ、献血をもとにつくって保存していた血液製剤の在庫を使ったり、
都道府県境を越えて融通しあったりして、
医療機関の要請を断るという事態にはなっていないというが、
血液製剤にも有効期間があるため
やはり新しい血液を供給しなければなりません。
献血ルームでは 新型コロナ対策も徹底して
協力を呼び掛けていますが、
これからますます厳しくなっていくことが予想されます。
血液不足ということなら是非とも献血に協力したい!と思っても
残念なことに全ての人が献血ができるとは限りません。
日本赤十字社によると 下記のような方には
献血を遠慮していただくことにしているそうです。
☆当日の体調不良、服薬中、発熱等の方
☆出血を伴う歯科治療(歯石除去を含む)を受けた方
抜歯等により口腔内常在菌が血中に移行し、
菌血症になる可能性があるため、治療後3日間は献血できない
☆ピアスの穴をあけた方
医療機関等で開けた場合でも細菌等の感染を考慮し最低1か月、
安全ピン等を使用したりその他の場合は6か月は献血できない
又 口唇、口腔、鼻腔など粘膜を貫通してピアスを挿入している場合は
期間を問わず献血ができません
☆妊娠中、授乳中等の方
出産・流産後6カ月を経過していない方も献血ができません
☆外傷のある方
傷の状態によって、献血をご遠慮いただくことがあります
また 人に噛まれた場合は治癒してから6か月、
動物に噛まれた場合は治癒してから3か月献血ができません
人に噛まれた方が期間が長いのですね!
他にも
輸血歴・臓器移植歴や特定の病気にかかったことがあったり
エイズなどのウイルス保有者、海外渡航歴などによって
献血ができないことになっています。
もちろん
新型コロナで陽性となった方や濃厚接触者、
味覚嗅覚に違和感がある方、
陰性でも検査から4週間以内は献血ができません
献血に協力するにも 様々は条件をクリアして初めて
献血することができるので 狭き門と思ってしまう方も少なくないかもしれません
また 今後問題視されるのは
新たな献血の条件が加わったことです。
もともと インフルエンザや日本脳炎、おたふくや風疹などの
予防接種を受けた方には
一定の期間は献血ができないそうなのですが
今 連日ニュースで報道されています新型コロナのワクチン接種については
接種後 当面の間 献血ができないことになっているのです。
先行接種として医療従事者にワクチンを接種し
段階的に一般の私たちにも接種ができるようになると
おのずと献血ができる人が減少することは明らかです
現在 国が献血の受け入れ基準について検討中とのことですが
ワクチンを接種する前に
お近くの献血ルームを訪れてはいかがでしょうか