目次
2022年11月
世界人口が80億人に達したと国連による発表がありました。
また、世界の人口は2058年に100億人に達する見通しとのことです。
日本では 他の先進国と同様
人口が微減化する少子高齢化が深刻な問題となっていますが
途上国の人口爆発が抱える問題もまた複雑かつ深刻化しています。
人口増加の問題点に
貧困や経済格差の拡大が挙げられます。
それは人口が増加によって 資源の消費が増え、
様々な生産が追いつかなり、
食糧や水、住宅、雇用などが不足してしまうことが原因とされています。
とりわけ食料問題は深刻で
国際連合食糧農業機関(FAO)は
食糧、飼料、バイオ燃料を含む農業生産の生産量を
2050年には2015年の水準より50%以上を増加させる必要性を唱えています。
人口激増化の途上国では慢性的な飢餓問題が懸念されていることに対して
少子化傾向の先進国ではフードロスの問題が深刻でもあり
世界中で食料問題の対策が課題となっています。
食料を安定的に確保し 安心安全な食の未来を残すために
「農業」の役割は非常に重要となります。
農業就業人口の減少は大きな課題です。
日本でも 2010年の農業就業人口のうち、
65歳以上は約160万人で全体の約6割、平均年齢は65.8歳でした。
2019年になると、65歳以上は約118万人で全体の約7割を占め、平均年齢は67.0歳と
農業従事者の高齢化が進んでいます。
また、若者の農業離れによる人手不足
少子化で後継者が生まれないといった問題点が指摘されています。
加えて、耕作放棄地は2015年に40万haを超えていると言われています。
そこで近年
ロボット技術や情報通信技術(ICT)等の
先端技術の活用による
新たな農業=「スマート農業」を推進する取り組みが進められています。
農林水産省が掲げる「スマート農業」では
その実現に向け、下記の5つが定義されています。
★超省力・大規模生産を実現
トラクター等の農業機械の自動走行の実現により、
規模限界を打破
★作物の能力を最大限に発揮
センシング技術や過去のデータを活用した
きめ細やかな栽培(精密農業)により、
従来にない多収・高品質生産を実現
★きつい作業、危険な作業から解放
収穫物の積み下ろし等重労働を
アシストスーツにより軽労化、
負担の大きな畦畔等の除草作業を自動化
★誰もが取り組みやすい農業を実現
農機の運転アシスト装置、
栽培ノウハウのデータ化等により、
経験の少ない労働力でも対処可能な環境を実現
★消費者・実需者に安心と信頼を提供
生産情報のクラウドシステムによる提供等により、
産地と消費者・実需者を直結
将来の労働者不足を補う取り組みとして
最先端の技術を用いた新しい農業「スマート農業」は
農作業の省力化・省人化が可能になりえます。
先端技術を活用した「スマート農業」の促進に欠かせないのが
農機のEV化です。
農業就業人口不足のためだけではなく
農林業から生じるとされる温室効果ガスは
世界全体で排出されるガスの2割とされ
環境問題への取り組みとしてもEV化は推奨されます。
農機の国内大手クボタは 電動トラクターや電動建機の開発を手掛け
2023年末を目途に欧州で小型のトラクターと建機を市場に投入する予定としています。
しかし 今の技術で中大型機をEV化するには
バッテリーの小型化が課題となっており、実現化のためにその技術開発が急がれています。
また農機大手のヤンマーでも2050年までに
自社製品が出す温暖化ガスを実質ゼロにする目標を掲げ
2025年までにトラクターなどの電動農機を発売すると発表しています。
海外では
トラクター界の「テスラ」とも言われている
アメリカのモナークトラクター社が
2023年から量産化するトラクターが注目されています。
それが世界初の自動運転で走行できる電動トラクターで、
パワーは標準的とされる40馬力で、
自動運転などの設定は運転席近くのタッチパネルで行います。
車体の前方に搭載された高容量バッテリーで、最大10時間稼働とのことです。
価格は1台およそ1000万円と決して安くはありませんが、
労働者不足の解消、脱炭素だけでなく
高騰するディーゼル燃料により年間65万円程の節約になるといいます。
持続可能な農業を支えるであろう農機のEV化は
農業人口減少や排ガスの解決策として期待される一方で
導入費用や運用が課題とされており
日本のみならず世界の農業の今後に良策が伴うことを願います。
世界人口増加で食料問題が深刻化しています。
日本をはじめ先進国では農業人口の減少が懸念され
その解決策の一つとして農機のEV化が注目されています。
様々な課題を解消しEV農機によって未来の農業、食料問題が明るいものになるよう期待したい。