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国土交通省は、
2025年9月以降発売の新型車のトラックやバスを対象に
歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)搭載を義務付ける事を発表しました。
加えて2025年1月から車両の後退を周囲に音で知らせるバックアラームも義務化し、
道路運送車両法に基づく保安基準を2023年1月に改正する方針としています。
自動ブレーキは、正式には
「衝突被害軽減ブレーキ」
=AEBS(Autonomous Emergency Braking System)
または「先進緊急ブレーキ」と呼ばれます。
普通自動車の自動ブレーキの国際基準では
下記の3つのケースで衝突しないことが基準になっています。
・時速40キロで走行中に、前方に停止している車に衝突しないこと
・時速60キロで走行中に、時速20キロで走る前方の車に衝突しないこと
・時速30キロで走行中に、道路を時速5キロで横断する歩行者に衝突しないこと
カメラやレーザーが前方の危険を検知
↓
衝突の可能性を警告音でドライバーに警告
↓
衝突回避又は被害軽減のため自動ブレーキ作動
自動車に搭載したレーダーやカメラ、ソナーからの情報をコンピュータが解析し、
ドライバーへの警告音やブレーキの補助操作などを行うシステムで
居眠り運転や増え続ける高齢者ドライバーによる
衝突事故の予防と回避、被害軽減に有効とされています。
交通事故総合分析センターによると、
自動ブレーキ搭載車の事故率は
自動ブレーキ非搭載車比べ減少している統計結果が出ています。
昼間の車両追突事故は65.1%、
夜間の対人追突事故は21.8%減少したといいます。
このように事故率は減少しているデータはあるものの
自動ブレーキシステムはメーカーや車種によってその性能は異なりますが、いずれにせよ
過信は禁物です。
自動ブレーキの先進安全装置は
各メーカーの技術の向上により 日々改善されてきていますが
自動ブレーキの要は
緊急停止を促す判断材料である歩行者や車両などの
障害物、対象物との距離測定機能です。
人間の目のサポートとして用いられる検知装備が
レーダー、カメラ、ソナーの3つです。
各メーカーは それぞれの特性を生かし
組み合わせることにより 安全性を高めています。
前方の視界が悪い場合でも、遠くでも前走車を検知しやすく
夜間でも昼間と同様の検知能力に長けています。
肉眼では認識が困難なトンネルの出入り口付近の視界や濃霧の際でも
この探知機能によりサポートが可能となります。
しかし、現状ではカメラより費用が高く、コストがかかります。
また、左右方向に狭い範囲でしか捉えることができません。
フロントガラスに搭載された二つのカメラにより
前方の対象物を立体的に認識し、前を走る車との距離を計測可能で
障害物のみならず白線にも対応できます。
単一のカメラを採用している車種もあります。
レーザーに比べ 比較的安価で搭載でき、
加えて ワイパーで汚れを除去できる位置に設置されているため
汚れによる認識機能の低下は避けられます。
ただし 人の目と同様に 天候不良の時等の視界不良の際や
前方がガラスの場合には
カメラの認識能力も低下してしまいます。
遠い対象物の検知は不向きなものの
近距離の障害物やガラス面に対して
探知する機能に長けているのがソナーです。
ブレーキとアクセルの踏み間違えを判断し
緊急停止を促すサポートには
カメラよりも誤検知のリスクが少ないとされています。
既に 2021年11月から
乗用車両と軽乗用車両の国産新型車においては
歩行者対応の自動ブレーキ装置が義務化されていますが
実はトラックにおいての自動ブレーキ義務化も
2014年11月から開始されており、段階的に厳格化されてきています。
国土交通省は、2025年9月以降に販売される
新車のトラックやバスにも 厳格化された基準の
自動ブレーキの搭載を義務付けると発表しており
トラックは総重量3・5トン超
バスは定員10人以上が対象の車両となります。
大型トラックによる追突事故の死亡率は乗用車の約12倍と高く、
自動ブレーキにより追突事故の死亡事故件数の約80%が削減可能
と非常に高い安全効果が見込まれています。
しかしながら 自動ブレーキはあくまでもドライバーの
「万が一」のサポートです。
いかなる車両を運転するドライバーは
自動ブレーキを過信することなく
常日頃から安全運転、安全対策を怠ることなく
ハンドルを握って欲しいものです。
レーダー等によって危険を検知しドライバーへの警告や
衝突回避又は被害軽減のため自動的にブレーキが作動する技術
「自動ブレーキ」の搭載が段階的に基準や対象が厳格化されています。
しかし この装備はあくまでもドライバーのサポート機能です。
過信することなく安全運転を心がけましょう。