目次
自動車の登場は 人々の暮らしや社会を大きく変貌させたのは言うまでもありません。
しかしながら
利便性が向上する一方で
様々なトラブルや問題点は 現代社会においてもゼロにはなっておらず
そのうちのひとつに環境問題において「排気ガス」に関する影響は
今もなお改善点が山積していると言えます。
「排気ガス」とは
自動車の燃料であるガソリンや軽油等の燃料が
エンジンで燃焼する際に発生し
大気中に放出される気体である「自動車排出ガス」の略称になります。
排気ガスの大部分は二酸化炭素(CO2)と水蒸気ですが
微量成分として下記の物質が含まれています。
・一酸化炭素(CO)
・炭化水素(HC)
・窒素酸化物(NOx)
・粒子状物質(PM)
・硫黄酸化物(SOx)
例えば炭化水素の場合、
太陽光の紫外線成分により、光化学オキシダントへと変化することで
光化学スモッグを発生させます。
これは 呼吸器などの粘膜への刺激等を引き起こし、
さらには自然界、農作物への悪影響を及ぼしてしまいます。
戦後 世界的に自動車の急速な普及とともに
大気汚染や健康被害も深刻化していきました。
それを重く見た国や自治体等は
排気ガスに含まれる有害物質の量を規制する
「自動車排出ガス規制」を整え始めます。
1966年のガソリン車に対する一酸化炭素(CO)の濃度規制から始まりました。
この規制では新車において
アイドリング、加速、定速、減速の4つの走行状態での測定において、
濃度が3%以下となることを義務付けました。
1969年には 前年に大気汚染防止法が制定されたこともあり
より一層の強化策として一酸化炭素濃度2.5%以下と規制されました。
この様に段階的に排気ガスの規制は年々強化され厳しい規制がされ
現行では下記の3種に大別し規制しています。
1.単体規制
一定の排気ガス濃度基準を満たす性能を持つ車両のみに
新車登録を許可し、
製造・輸入・販売させる規制手法になります。
新車登録時のみに適用され、中古車および使用過程車には適用されません。
2.車種規制
一定の走行条件下で測定された排気ガス濃度が基準を満たしていない車両
の新規登録、移転登録及び継続登録をさせないことにより、基準を満たさない車両を排除する規制手法で
中古車及び使用過程車も対象になります。これにより新車代替の促進が見込まれます。
3.運行規制
車種、用途、燃料種、排ガス性能その他について要件を定めて車両の運行を制限し、
排ガス性能の劣る車両の流入阻止や渋滞緩和を図り、
沿道の大気汚染を防止する規制手法になります。
首都圏で実施中のディーゼル車規制条例による規制や、
自然保護のために行われるマイカー規制がこれにあたります。
日本同様に欧米をはじめ世界各地で
排気ガスの規制がなされるようになり
その規制は年々厳しい内容となってきています。
欧州で一段と厳しい排ガス規制「ユーロ7」が
2025年にも普通自動車のみならず
トラックやバスなど商用車にも適用されるとのことです。
現在の「ユーロ6」では EU加盟国内の自動車の販売メーカーは
自動車の二酸化炭素(CO2)の排出量をメーカー平均で
走行1kmあたり94.9g以下に抑える必要があります。
つまり燃費で換算すると、
全車種の燃費を平均24.44km/L以上にするということになります。
さらに
1kmあたりの二酸化炭素排出量の超過が1gごとに、
販売1台あたり95ユーロの罰金が課されます。
「ユーロ7」は「ユーロ6」よりも規制対象の物質が追加されるなど
さらに厳しい内容になると言われており、
この規制を見込んで日本の自動車関連メーカーは
さらなる技術開発を行い、基準をクリアするべく苦戦しているといいます。
しかしながら このような厳しい基準は
言い換えるとガソリンエンジン車両の終焉と
事実上の電気自動車への方向転換を指しているとも言われています。
自動車による「排気ガス」は
人体や自然に悪影響を及ぼす大気汚染の発生原因でもあります。
日本だけでなく世界的に排気ガスの規制は年々強化され
自動車産業はガソリンエンジン自動車から
新たなフェーズへと移行を余儀なくされているとも言えるでしょう。