トラックやトレーラを運転する際、気をつけなければならないことは運転方法だけではありません。
安全運転を行うことは非常に重要ですが、事前準備も大切です。
トラックやトレーラに積み込まれた荷物が崩れないよう、しっかりと対策を行いましょう。
“地震の連続発生”
トラック(以下、トレ−ラを含む)の走行は、“地震の連続発生”のようなものです。
トラックが走り出すと、積荷は絶えず大小の地震に見舞われることになります。
舗装の良い道路であれば“震度2の軽震”程度、マンホールのふたの乗り越え等の道路の凹凸は、積荷には“震度4の中震〜震度7の激震”となって上下方向にゆさぶられます。
次に、左から右にカーブしているS字型の長い下り坂では“震度5の強震”“震度6の烈震”に相当します。
また、通常のブレーキ動作であれば“震度2の軽震”程度ですが、ブレーキを踏む時期がおくれると、“震度4の中震”となります。
そして急ブレーキを踏んだ時に積荷の受ける衝撃は、“震度7の激震”以上であり、積荷は車の前方に強く押し出されるのです。
トラックの走行中に発生する振動・衝撃の方向は、路面の凹凸からくる上下動と、加速・減速・ブレーキによる前後動、それにカーブ走行時の遠心力による左右動と、これらがすべて重複して積荷に加わっています。
とくに、走行中の上下方向の振動は、積荷とトラックの床面の間や、積荷どうしの滑りに対する抵抗力を低下させるので、走行中の積荷は静止時にくらべて非常に荷崩れし易くなります。
荷崩れ防止策
荷崩れを防ぐには上記の3つが組み合わされて実行されなければ効果は上がりません。
トラック走行中は、いつも震度4以上の地震におそわれることになるので、積付けをきちんとしただけでは荷崩れを防止できません。
また、出発前にいかにしっかりロープ等で固縛しても、積付けのやり方が悪いと、走行中の振動・衝撃で積荷の移動・変形により隙間を生じ、ロープにゆるみが出て、これがさらに荷崩れを誘発することになります。
したがって、積付けも固縛も荷崩れ防止の重要ポイントです。
荷崩れの発生状況
走行中に荷崩れの発生する原因は、道路走行中に路面の凹凸からくる振動・衝撃、急制動や急発進などの急激な運転操作からくる衝撃、およびカーブや曲り角における急旋回時の遠心加速度です。
一方、このような振動・衝撃を受けて生ずる荷崩れの発生状況を分類すると、
の三つに大別されます。
横滑り(前後または左右)による荷崩れの発生
数物のカートン貨物では、積載効率を上げるために当然積み重ね段数を多くしなければなりません。
中身の重量がある程度重い場合は、カートンのたてよこの配列を段ごとに変えることによって、上下のカートンが僅かにくいこんで横滑りに対する抵抗力が増し滑りにくくなります。
しかし軽いカートンどうしや、正方形のカートンの場合は、摩擦係数が低いため、側面あおりやロープ掛けなどにより横滑りを防ぐ対策が施されていないと、長いS字カーブや曲り角での旋回時に遠心力により横滑りして荷崩れを発生し易いのです。
運転席を押しつぶしたり、車体外へ積荷が落下し、交通渋滞のみならず通行人や他の車両を巻き込んだ大きな事故に結びつくことになります。
積付けの形が崩れることによる荷崩れの発生
生野菜、果物などをカートンではなく、合成樹脂や竹製のカゴに入れて積付けた場合や、まれに生野菜を裸のまま積重ねて積付ける場合、積荷そのものが積付け(積重ね)に対する外装強度を持っていないということになります。
この場合は、積荷の荷崩れを積付けの仕方とロープ掛けで防ぐことは不可能に近く、積載場所全体を外装容器としましょう。
また、カートンや木箱などは中身の貨物の破損を含めて、下段の貨物が重圧により変形し、荷崩れを生じることがまれに起きるので、積付け時にカートンの変形・木箱の損傷状況に注意することが必要です。
転倒による荷崩れの発生
背の高い積荷の場合は、当然重心位置が高いので、急ブレーキの場合やカーブ走行・曲り角での急旋回時等において、積荷が転倒するおそれがあります。
転倒を防止する方法としては、ロープ掛けの強度(固縛個所数×ロープの太さ)を一般的な貨物の場合より大きくする方法と、転倒しにくいように転倒するときの回転の支点を台木、スタンション等を用いて上方にずらす方法があります。
荷崩れを起こしてしまうと、自身を含め周囲の命に関わる事故に繋がる可能性があります。
事故にならなかったとしても、その危険性は変わりません。
トラック・トレーラで安全に走行するために、荷崩れしない積み方でしっかりと対策しましょう。
引用参考 安全輸送のための積付け・固縛方法