目次
世界的に脱炭素社会の実現に向け
「電気自動車」への転換の加速が期待されていますが
日本では 街中で
頻繁に電気自動車を見かける機会は
まだまだ多くはありません。
日本政府は、2035年までに
乗用車新車販売における電気自動車の比率を100%とする目標を掲げています。
それにあわせて
公共用の急速充電器3万基を含む
充電インフラの数を2030年までに15万基設置まで伸ばし、
利便性実現を目指すとしています。
日本における電気自動車・プラグインハイブリッド車の
販売比率はいずれも上昇傾向にあると言います。
2020年は販売比率1%を下回る月がほとんどでしたが、
軽自動車の電気自動車の販売とともに
急速に販売スピードが拡大して2022年9月には4%を超えました。
日本自動車販売協会連合会によると
軽自動車を除く
2021年の燃料別新車販売台数(普通乗用車)の割合は下記の通り
まだまだ半数近くがガソリン車になり
EVの割合は全体の約0.88%に過ぎません。
ガソリン車
118万3128台
49.30%
HV(ハイブリッド車)
102万7104台
42.80%
PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)
2万2777台
0.95%
EV(電気自動車)
2万1139台
0.88%
ディーゼル車
14万3089台
5.96%
FCV(燃料電池自動車)
2464台
0.10%
その他
161台
0.01%
計
239万9862台
100%
また 2022年7月に行われた
20~69歳の計2,800名のインターネット調査(J.D. パワージャパン)によると
次に自家用車を購入する場合、どのタイプの車両を検討するかを尋ねたところ、
ガソリン車・・・49%
ハイブリッド車・・・48%
電気自動車・・・25%
という回答結果でした。
電気自動車を検討しないと回答した人のその理由は
充電スタンドが少ない・・・・53%
車の価格が高い・・・・48%
充電に時間がかかる・・・・38%
自宅に充電設備を用意できない・・・・37%
航続距離に不安を感じる・・・・35%
(複数回答)
このように「EV充電」に関する不安要素の理由が多くを占め
今後の電気自動車の普及率アップの大きな鍵となることは間違いないでしょう。
国際エネルギー機関(IEA)によると、
電気自動車の充電に欠かせないEV充電器のうち
日本の公共のEV充電器は
2021年では約2万9000基と記されています。
充電スタンドの設置場所は 主に下記のようなところにあります。
このような街中の充電スタンドでは
1回の利用料は450円~600円位が一般的な料金となるそうです。
・カーディーラー
・ガソリンスタンド
・大型コンビニエンスストア
・商業施設
・宿泊施設
・道の駅
・高速道路サービスエリア
・コインパーキング
少しずつ増加しているとはいえ、
韓国では10万7000基、中国では262万基とその数に圧倒されます。
しかし 日本が極端に少ないというわけではなく
イギリスも2万8000基ですので
どの国も今後の電気自動車普及に向け
充電インフラの整備の拡充を目指している点では一致しています。
EV充電器には様々な種類があり
設置される場所やニーズにより 最適な充電器は異なります。
おおまかな充電器の種類を見てみましょう。
★普通充電器 出力:3~6kW
コンセント型とポール型の2種類のタイプがあります。
・コンセント型:100Vと200V
戸建/集合住宅 ビル等に適用
設備本体価格は数千円
・ポール型:200V
ケーブル無し(コンセント型)タイプと
ケーブル付きタイプの充電器の二種類があります。
商業レジャー宿泊施設等、病院、屋外駐車場等に適用
設備本体価格は数十万円
小型で導入コストが低いが、
給電速度が緩やかな為
長時間滞在する場所に設置することが
望ましい充電器になります。
★急速充電器 出力:50~150kW
高圧供給による契約が必要となる場合が多く見られます。
比較的大型で 導入コストが百万円以上とされ、
高額ではありますが、
短時間で充電が可能なので
高速道路のサービスエリアや市街地エリア等、
業務用車両に
利便性が高い充電器になります。
最大出力50kWの急速充電器なら
30分の充電で、約100kmの走行距離を充電回復できます。
これからの電気自動車の普及に欠かせない
公共性の高いインフラとしての急速充電器の整備を進める為
日本政府は2023年にも規制を緩和するとしています。
国際エネルギー機関(IEA)が
高速と定義する22kW以上の充電器では
韓国は1万5000基、中国は47万基のところ
現状、日本はまだ僅か8000基が
設置されているのみにとどまっており、
電気自動車の普及を推進する上で
急速充電器の整備は大きな課題となっています。
日本では現在、EV充電器の設置について
20kW以下のEV充電器には特段の規制はないものの
20kW超になると 安全のための絶縁性の確保など一定の要件を満たす必要があります。
50kW超はさらに建築物からの距離などで制約がかかったり
200kW超の充電器は「変電設備」となったり、
高電圧の電流を変圧する設備との想定で厳しい規制がかかります。
また、屋内に設ける場合は壁や天井を不燃材料で区画する必要があり、
設備の形式によっては運営者など特定の人しか扱うことができません。
この規制を所管する消防庁は
2023年中の関係省令の改正し、規制を緩和するとしています。
改正後は
200kW超の充電器も「変電設備」から「急速充電設備」となり、
出力50kW超~200kWの充電器と同等の扱いになります。
現状の規制では 200kW級の充電器の設置に
数千万円の設置費や年数百万円の運営費がかかってしまうので
改正後の設備運用のコスト削減に期待が寄せられています。
日本政府は2030年までに
公共EV充電器の設置数を
急速充電器3万基を含む15万基とする目標を示しています。
電気自動車の普及の大きな鍵となる「EV充電器」
この法令の規制緩和は
街中でのEV充電設備の拡充策として
温暖化ガス実質ゼロを実現するための一歩となるのではないでしょうか
日本政府は2030年までに
公共用EV充電器を15万基設置する目標を示し
その為、2023年に法令を改正し、規制を緩和します。
これによる設備運用のコスト削減がインフラ整備のみならず
電気自動車の普及を促すと期待されています。