前回、車両火災事故を防ぐポイントとして、点検整備が最も重要であるということをお話し致しました。そこで今回は、日常点検と点検整備、給油脂についてご紹介いたします。道路運送車両法第4賞では、日常点検整備、定期点検整備、点検整備記録簿の管理を規定しています。重量物輸送の車両は、点検整備を適切に実施し、整備不良に起因する事故や配達遅延などの防止に努めなければなりません。
1. 乾燥路をゆっくり走行してブレーキペダルを踏み、効き具合に以上がないかを確認する。
2. ブレーキペダルを踏み、話した時のブレーキバルブからの排気音に異常がないかを確認する。
3. ハンドル方式の駐車ブレーキは、ワイヤーの引きしろに異常がないかを確認する。スプリングブレーキ方式のものは、コントロールバルブを操作し、スラックアジャスタの作動に異常がないかを確認する。
4. エアタンクの凝水はないかを確認する。
5. エアタンクドレンコックに漏れはないかを確認する。
6. エアホースのエア漏れや亀裂、損傷はないかを確認する。
7. キャブ内トレーラー用ABSウォーニングランプの点灯、消灯に異常がないかを確認する。
8. 空気圧が正常に上がるかどうかキャプ内の圧力計で確認する。
日常点検:車輪(走行装置)
1. タイヤの空気圧は適正化どうかを確認する。スペアタイヤについては必要に応じて点検する。
2. タイヤに亀裂、損傷はないか確認する。
3. タイヤに異常な摩擦はないか確認する。
4. タイヤの溝の深さは十分あるか確認する。
5. ホイールナットの緩み、脱落、折損などの異常はないか確認する。
6. ホイールナット付近にサビ汁が出た痕跡はないか確認する。
7. ホイールナットから突き出しているホイールボルトの長さに不揃いはないか確認する。
1. カプラジョー、レバーブレーキカップリング、ジャンパホース、ジャンパケーブル、ABSケーブル全ての連結状態に異常はないか、漏れ、損傷はないかを確認する。
2. 灯火装置、および方向指示器の点灯、または点滅具合に異常はないか、レンズの汚れや損傷やないかを確認する。
日常点検:その他
1. 補助脚の作動に異常はないか、内筒の格納状態に異常はないか確認する。
2. 補助脚の操作ハンドルは正規の位置に格納されているか確認する。
3. 車両付属品の搭載状態に異常はないか確認する。
4. 運行において異常が認められていた箇所に異常がないか再度確認する。
まず一番始めに、運行において認められた異常個所の点検から始めます。異常の点検整備を怠ると、重大事故に直結してしまいます。ジャンパホース、ブレーキカップリングやカプラジョー車両付属品などはメーカーが指定している点検期間で点検してください。タイヤ、ホイールナット、点灯装備および方向指示器、ブレーキ各種、スペアタイヤなどは必ず毎日点検してください。
前回の「重量物輸送における接触事故や火災事故の防止」でもご紹介しましたが、車両火災の原因として報告されている事例は、日常点検整備で防げるものが多数あります。例として、リレーエマージェンシーバルブ内の水分凍結、ホイールベアリングの焼きつき、スプリングチャンバの劣化、駐車ブレーキの解除忘れ、チャンバ不良によるブレーキドラムの過熱、スプリングチャンバの劣化などが、車両火災事故の原因として報告されています。日々の点検整備が、このような重大な事故を直接的に防げることを心に留め、プロドライバーとしての自覚を持って運行に臨んでください。