近年 高齢ドライバーによる事故が後を絶たちません。
新たな令和時代に入っても、その流れは止まることを知らず
毎日のように悲しい事故のニュースを目にしてしまいます。
埼玉県:
87歳の女が運転する軽トラックが、左折時の確認不足で
ミニバイクで走行していた男子高校生(18)に衝突。
この事故で、男子高校生は心臓に穴が開くなどの重傷を負い、女は過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕。
福岡県:
74歳の女が運転する軽乗用車が、夕日で信号が見えにくかったことなどが原因で
信号付きの横断歩道を渡っていた女の子(8)と男の子(6)をはね、
女は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕。
茨城県:
76歳の女が運転する軽トラックが、確認不足で踏切に進入し、列車と衝突。
この事故で、運転していた女が死亡し、同乗していた小学生の孫が負傷。
兵庫県:
77歳の男が運転する車が ハンドルの切りすぎにより
宅配ピザの店舗に衝突しました。
この事故で、店舗の扉のガラスなどが破損、怪我人はいなかったということです。
愛媛県:
72歳の男が運転する軽乗用車が、センターラインを越えてトラックと正面衝突する事故があり
この事故で、運転していた男は死亡。
栃木県:
88歳の高齢男性がひき逃げされ 死亡した事件で、
現場に落ちていた車のバンパーやヘッドライトの破片などから車を特定し、78歳の男が逮捕。
しかし警察の取り調べに対して、男は「交通事故を起こした認識がない」と容疑を否認。
こういったような高齢ドライバーによる事故が 全国でほぼ毎日確認されています。
上記に挙げた事故は ほんの一例にすぎません。
警視庁の統計によりますと
75歳以上・80歳以上の免許保有者数はともに増加を続けており、
平成29年の保有者数は、平成19年と 比較して、
75歳以上は約 1.9倍の540万人、80歳以上220万人と約 2.3倍に増加しています。
警視庁では 高齢ドライバーを「高齢運転者」とし、原付以上(特殊車を含む)を運転している65歳以上の者を指しています。
過去5年間を見てみると 高齢ドライバーの事故発生件数は若干の減少傾向にあります。
しかしながら、事故全体の割合としては増加傾向にあります。
☆高齢運転者(第一当事者)交通事故発生件数
平成26年・・・6,033件
平成27年・・・5,806件
平成28年・・・5,703件
平成29年・・・5,876件
平成30年・・・5,860件
☆事故全体に占める高齢運転者の事故割合
平成26年・・・16.2%
平成27年・・・16.9%
平成28年・・・17.6%
平成29年・・・17.9%
平成30年・・・18.0%
☆違反別にみた高齢運転者交通事故発生状況
高齢者の交通事故のうち、高齢運転者(第1当事者)の違反をみると、
安全不確認が最も多くなっています。
安全不確認・・・・・・・・・・38.1%
交差点安全進行・・・・・・・・16.6%
前方不注意・・・・・・・・・・12.6%
ハンドル・ブレーキ操作不適・・7.1%
動静不注視・・・・・・・・・・6.7%
歩行者妨害・・・・・・・・・・5.1%
信号無視・・・・・・・・・・・2.2%
その他・・・・・・・・・・・・11.6%
☆人的要因別にみた高齢運転者交通事故発生状況
高齢者の交通事故のうち高齢運転者(第1当事者)の人的要因をみると、
脇見や考え事をしていたことなどによる、発見の遅れ(構成率約81.5パーセント)が最も多くなっています。
発見の遅れ・・・・・・・・81.5%
判断の誤り等・・・・・・・10.2%
操作上の誤り・・・・・・・7.9%
調査不能・・・・・・・・・0.4%
高齢運転者は、自分で安全運転を心掛けているつもりでも、
他人が客観的にみると安全運転とは言えないところがあると言われています。
その理由として、個人差はありますが、
* 注意力や集中力が低下していること
* 瞬間的な判断力が低下していること
* 過去の経験にとらわれる傾向にあること
等が考えられます。
また、一般的には加齢に伴う動体視力の衰えや反応時間の遅れなど身体機能の変化により、
危険の発見が遅れがちになることがあります。
職業ドライバーも、一般ドライバーも常に
このような高齢ドライバーが 自分の前後左右を走行しているかもしれないという認識を持ち
不測の事態を想定した安全な運転を心掛けなければなりません。