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現代社会において、精密機械は様々な分野で活躍しています。医療機器、半導体製造装置、計測機器など、高度な技術が集約された精密機械は、私たちの生活を支える重要な役割を担っています。
これらの精密機械は、輸送中の温度変化や湿度の変化に非常に敏感です。わずかな変化が、機械の精度や性能に悪影響を及ぼし、故障や誤作動の原因となる可能性があります。
今回は、精密機械の定温輸送の重要性について、温度変化に伴う湿度の変化による結露、そして温度変化による資材の伸縮膨張という2つの観点から詳しく解説していきます。
精密機械の輸送において、温度変化は大きなリスク要因となります。特に、温度変化に伴う湿度の変化は、結露を引き起こし、精密機械に深刻なダメージを与える可能性があります。
結露とは、空気中の水蒸気が冷やされて水滴になる現象です。温度が下がると、空気中に含むことができる水蒸気量が減少します。そのため、飽和水蒸気量を超えた水蒸気は、水滴となって物体表面に付着します。
精密機械の輸送においては、以下のような状況で結露が発生しやすくなります。
・外気温の変化
季節の変化や、地域間の気温差などにより、輸送中に外気温が大きく変動することがあります。
特に、冬季に暖房の効いた室内から、寒冷な屋外に精密機械を搬出する際などは、結露が発生しやすいため注意が必要です。
・輸送中の温度変化
トラックの荷台内は、日中の直射日光や、夜間の冷え込みなどにより、温度が大きく変動することがあります。
また、輸送中にトラックの扉を開閉する際にも、外気との温度差により結露が発生する可能性があります。
・梱包材の影響
密閉された梱包材を使用すると、内部の湿度が高くなり、結露が発生しやすくなります。
通気性の悪い梱包材を使用する場合は、乾燥剤などを用いて湿度を調整する必要があります。
結露は、精密機械に様々な悪影響を及ぼします。
・電気回路のショート
精密機械の内部に水滴が付着すると、電気回路がショートし、故障や誤作動の原因となります。
特に、電子部品や基板などは、水に弱いため、結露によるダメージを受けやすい部分です。
・金属部品の腐食
結露により金属部品が錆びたり、腐食したりすることがあります。
これにより、機械の精度や耐久性が低下する可能性があります。
・カビの発生
結露が発生すると、湿気が多くなり、カビが発生しやすくなります。
カビは、機械の故障や劣化の原因となるだけでなく、人体にも悪影響を及ぼす可能性があります。
精密機械は、様々な素材で構成されています。金属、プラスチック、ガラス、石など、これらの素材によっては、温度変化によって伸縮膨張するものがあります。
温度が上がると、物質を構成する原子や分子の運動が活発になり、体積が増加します。逆に、温度が下がると、原子や分子の運動が鈍くなり、体積が減少します。
精密機械の部品は、非常に高い精度で加工されています。そのため、わずかな温度変化でも、部品の伸縮膨張により、機械全体の精度が狂ってしまう可能性があります。
・金属部品
金属は、温度変化による伸縮膨張が比較的大きい素材です。
精密機械のフレームやギアなどに使用されている金属部品が伸縮することで、機械の精度が狂ったり、部品同士が干渉したりする可能性があります。
・プラスチック部品
プラスチックは、金属に比べて伸縮膨張が小さい素材ですが、温度変化の影響を受けやすい素材でもあります。
特に、熱可塑性プラスチックは、高温になると軟化し、変形しやすくなるため、注意が必要です。
・ガラス部品
ガラスは、温度変化による伸縮膨張が非常に小さい素材です。
しかし、急激な温度変化を与えると、熱衝撃により割れてしまう可能性があります。
・石材
石材は、温度変化による伸縮膨張が少なく安定しているため、正確な寸法や平滑な面を必要とする機械などに使用されています。
しかし、全く伸縮膨張しないわけではなく、慎重な温度管理が必要です。
また、素材によっては吸水性があるため、湿度変化にも影響を受けます。そのため石材部品が使用されている精密機械では、温度変化だけでなく湿度変化にも注意が必要です。
精密機械の輸送においては、結露や伸縮膨張による影響を最小限に抑えるため、定温輸送が非常に重要です。
定温輸送とは、輸送中の温度を一定に保つ輸送方法です。温度変化に敏感な精密機械を安全に輸送するために、様々な技術やノウハウが用いられています。
・温度・湿度調節付 コンテナ
荷台内部の温度を一定に保つことができる特殊な車両です。
エアコンやヒーター、断熱材などを用いて、精密機械に最適な温度環境を維持します。
岩瀬運輸機工では30本の温度・湿度調節付 大型コンテナを保有してるほか、8t車、4t車も保有して、お客様の需要をサポートいたします。
・温度管理システム
温度センサーやデータロガーなどを用いて、輸送中の温度を監視・記録します。
これにより、温度変化をリアルタイムで把握し、適切な対策を講じることができます。
・梱包材の選定
断熱性や通気性に優れた梱包材を使用することで、温度変化や結露の発生を抑制します。
発泡スチロールやエアパッキンなど、様々な種類の梱包材があります。
定温輸送を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
・輸送前の準備
輸送前に、精密機械の保管環境を確認し、輸送中の温度設定を適切に行う必要があります。
また、梱包材の種類や使用方法なども、事前に検討しておく必要があります。
・輸送中の管理
輸送中は、温度管理システムなどを用いて、定期的に温度をチェックする必要があります。
・輸送後の確認
輸送後は、精密機械の状態に問題がないか確認する必要があります。
精密機械の輸送において、定温輸送は非常に重要です。温度変化や湿度の変化は、結露や伸縮膨張を引き起こし、精密機械の精度や性能に悪影響を及ぼす可能性があります。
岩瀬運輸機工は、定温輸送のエキスパートとして、お客様の大切な精密機械を安全に目的地までお届けします。定温輸送に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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