春は新年度の始まり。新たな仲間の加入や体制変更など、運送業界でもフレッシュな風が吹く季節です。
このタイミングで多くの企業が実施するのが「安全運転講習」。
とくにプロドライバーにとっては、“慣れ”が思わぬ事故を招くこともあり、この時期に改めて初心に立ち返ることが大切です。
今回は、新年度におすすめしたい安全運転講習のポイントや、プロドライバーとしての「心得」についてご紹介します。
新年度は多忙な時期であると同時に、環境の変化が多く、ドライバーにとって注意力が散漫になりやすい時期です。
特に以下のような要素が重なるため、安全運転への意識を再確認する意義があります:
– 新人ドライバーの入社・育成
– 配送ルートの変更
– 季節の変わり目(春特有の強風や花粉、雨天)
– 周囲の交通状況(新生活に慣れていない一般ドライバーや自転車通学者の増加)
また、近年では高齢ドライバーの増加や多様化する車両・運行形態など、状況は複雑さを増しています。
だからこそ、新年度のタイミングで“心を整える”ことが、事故防止の第一歩となります。
新年度の講習で改めて確認しておきたい、プロドライバーの基本行動と心得を以下にまとめます。
安全確認の基本。交差点、見通しの悪い場所ではとにかく“止まる”意識を。
相手に譲ることで、自分と荷物を守るのがプロの判断です。
荷の重さ、車両のブレーキ性能、天候などにより必要な車間距離は変化します。
安全は「計算」ではなく「余裕」が守ります。
ブレーキ、タイヤ、灯火類、バックカメラなど、毎日チェックする習慣を。
「今日はいいや」が大事故につながることもあります。
歩行者の急な飛び出し、右直事故、死角の二輪車…日常的に潜むリスクを常にシミュレーションしておく。
「間に合わない」からと無理な追越しや速度超過をするのではなく、まずは会社と相談を。
新年度のスタートに合わせて、安全運転への意識づけに注力する運送会社も多くあります。
▶︎ 年間安全目標の共有
ドライバー全員で「今年の安全目標」を掲げ、共通意識を持つ企業が増えています。
例:「重大事故ゼロ」「ヒヤリ・ハット報告月10件」など、具体的で現実的な指標。
▶︎ 安全運転講習の実施
実技と座学を組み合わせ、Gロガーによる走行解析やドラレコ映像の振り返りを行うケースもあります。
ベテランドライバーによる事故未然防止の体験談を共有するなど、実践的な講習が重視されています。
▶︎ 新人教育の充実
同乗指導や走行後のフィードバックにより、安全意識と運転技術を習得。
扱う車両や設備に応じた専門的な教育も行われます。
▶︎ “ありがとう”が飛び交う現場づくり
お互いの運転に感謝や声掛けをする文化を育てることで、職場の雰囲気が良くなり、
結果的に事故の防止にもつながります。
春は、新しい環境に慣れていない一般車・自転車・歩行者が増加します。
プロドライバーは以下の点にも注意が必要です:
– 自転車通学者の予測不能な動き(特に雨天や登下校時間帯)
– 初心者マークの自動車との接触リスク
– 横断歩道での歩行者優先(交通ルール改正の影響も)
事故の加害者・被害者を問わず、トラックが関与するだけで影響は大きくなります。
だからこそ、プロとしての“ゆとり”と“心の広さ”が試される季節です。
近年、AIドラレコや運行管理システムを活用した「見える化」が進んでいます。
多くの運送会社では以下のような取り組みが実施されています:
– ドライバーごとのGロガーデータを分析し、急加減速やカーブでの挙動を改善
– ドラレコ映像でヒヤリ場面を共有し、全員の教材とする
– 安全運転表彰制度を導入し、モチベーションアップにも寄与
テクノロジーは万能ではありませんが、「気づき」を促すツールとして非常に有効です。
安全運転において、「初心」は決して過去に戻ることではなく、進化のスタートラインです。
どれだけ経験を重ねても、どれだけ技術が進んでも、「基本を守る」「心を整える」ことの価値は変わりません。
新年度の安全運転講習は、そんな“プロとしての原点”に立ち返る大切な機会。
多くの運送現場で、安全第一の輸送が引き続き追求されることを願ってやみません。
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出典:
国土交通省|トラック運送業の安全対策
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000002.html
全日本トラック協会|安全・環境への取り組み
運行管理業務と安全マニュアル